「第一志望には落ちたけれど、滑り止めには受かった」
「このまま進学するか、浪人してもう一度挑戦するか迷っている」
「せっかくなら浪人して、もっと上の大学を目指したい」
受験が終わったあと、こうした悩みを抱える人は少なくありません。
特に第一志望に届かなかった直後は、
「もう一年やれば、今より上の大学に行けるかもしれない」
という気持ちも出てきます。
もちろん、浪人を選ぶこと自体は悪いことではありません。
ただし、
「第一志望に落ちたから浪人する」
「大学のランクを上げたいから浪人する」
というだけで決めるのはおすすめできません。
浪人には、もう一年という時間が必要です。
だからこそ、最初に考えたいのは、
「なぜ自分は浪人したいのか」
です。
この記事では、受かった大学へ進学するか、浪人するか迷っている人に向けて、後悔しないために考えておきたい判断基準を整理していきます。
浪人するか迷ったら、最初に「なぜ浪人したいのか」を考える
浪人するかどうかを考えるとき、最初に確認したいのは志望大学のランクではありません。
まず考えてほしいのは、
「なぜ、もう一年やりたいのか」
です。
例えば、
日東駒専には合格した。
でもGMARCHを目指して浪人したい。
そう考えているなら、一度、
「なぜGMARCHに行きたいのか?」
と自分に聞いてみてください。
理由は立派でなくてもいい
ここで、
「将来の研究のために、どうしてもこの大学でなければいけない」
といった立派な理由が必要なわけではありません。
例えば、
- 昔からその大学に憧れていた
- キャンパスや雰囲気が好き
- どうしてもそこで大学生活を送りたい
- 大学名がかっこいいと思う
- 行きたい学部や学科がある
- その大学に受からないまま終わりたくない
- 現役の結果に納得できない
- もう一度本気で挑戦して受験を終えたい
でも構いません。
大切なのは、その理由が自分の中にあることです。
逆に、
- 周りも浪人するから
- なんとなく学歴が高い方がよさそうだから
- GMARCH以上でないと就職できないと聞いたから
- 親や先生に勧められたから
というように、自分自身の中にあまり理由がないのであれば、一度立ち止まって考えた方がいいでしょう。
浪人生活は一年続きます。
最初は強い気持ちがあっても、思ったように成績が上がらなかったり、勉強そのものが嫌になったりする時期はあります。
そんなときに最後まで残るのは、
「自分はなぜもう一年やるのか」
という自分自身の理由です。
「どの大学に行くか」より、大学で何をするかの方が長い目では重要
ここで言いたいのは、
「大学名がかっこいい」
「その大学に憧れている」
という理由が悪いということではありません。
そうした理由でも、本人が本当に一年を使ってでも目指したいと思えるのであれば、十分に浪人を考える理由になります。
ただし、
「今より大学のランクを一段上げたい」
ということだけで一年を使うのかは、一度考えてみてほしいと思います。
受験中は第一志望合格を全力で目指していい
受験生に対して、
「大学なんてどこでもいい」
と言いたいわけではありません。
受験をしている間は、
「第一志望に受かることがすべて」
くらいの気持ちで頑張っていいと思います。
目標があるからこそ頑張れることもあります。
第一志望を目指して、
苦手科目に向き合う。
勉強時間を増やす。
自分の弱点を修正する。
そうした経験にも意味があります。
だから、受験中は第一志望合格を最大の目標にして構いません。
でも大学名だけで、その後が決まるわけではない
一方で、大学に入ったあとは、
- 何を学ぶか
- どんな人と関わるか
- どんな経験をするか
- 何に挑戦するか
- 大学外で何をするか
- 卒業後に何を目指すか
といったことの重要性が大きくなっていきます。
大学によって学べる内容や環境、就職先などに違いがあるのは当然です。
だから大学選びが重要でないという話ではありません。
ただ、どの大学に入ったかだけで、その後の人生がすべて決まるわけでもありません。
浪人をするなら、
「今より上の大学に行きたいから」
だけではなく、
その一年を使ってでも、その大学を目指したいと思えるか
まで考えることが大切です。
現役時代にどれくらい頑張れたかを見る
浪人に向いているかを考えるとき、現役時代にどれくらい受験勉強に取り組めたかも重要な判断材料になります。
現役で頑張れなかった人が、浪人しただけで変わるとは限らない
浪人すると環境は変わります。
高校生活がなくなり、受験勉強に使える時間が増える。
塾や予備校に通い始める。
周囲も浪人生になる。
そうした変化はあります。
ただし、環境が変わったからといって、自分自身も自動的に変わるわけではありません。
現役時代、
受験が迫ってもほとんど勉強しなかった。
受験が近づいても、遊びや娯楽に使う時間をほとんど変えられなかった。
必要なことが分かっていても行動しなかった。
その状態のまま、
「浪人したらさすがに頑張れる」
と考えるのは危険です。
時間が増えた結果、勉強時間ではなく自由時間だけが増えてしまうこともあります。
「頑張れなかった」の中身は人によって違う
ただし、
「現役時代に頑張れなかった」
という言葉だけで判断するのもよくありません。
本人は、
「全然頑張れなかった」
と思っていても、実際には、
- 部活と両立しながら勉強していた
- 毎日机には向かっていた
- 勉強方法が合っていなかった
- 計画の立て方がうまくなかった
- スタートが遅かった
- 必要な勉強量を読み違えていた
ということもあります。
こうした場合は、
「努力できない人だった」
とは限りません。
だから見るべきなのは、
頑張れたか、頑張れなかったか
という自己評価だけではなく、
なぜ結果につながる行動ができなかったのか
です。
原因が分かれば、浪人生活で変えられることもあります。
「今、何をしているか」は浪人への本気度をかなり表す
浪人するか迷っているとき、かなり分かりやすい判断材料があります。
それが、
「今、何をしているか」
です。
塾や予備校が決まっていなくても、できることはある
浪人を考えて、塾や予備校を探している。
その時点で、
「今は何を勉強している?」
と聞いてみると、その人の本気度が見えることがあります。
本当に悔しくて、
「来年こそ受かりたい」
と思っている人なら、塾や予備校が決まる前でも、
- 英単語を始める
- 数学を復習する
- 現役時代の教材をやり直す
- 入試問題を解き直す
- 苦手科目を整理する
など、何かしら始めていることが多いです。
もちろん、受験直後に少し休むことまで否定する必要はありません。
長い受験生活が終わった直後なら、心身ともに疲れていることもあります。
ただ、何週間も何もせず、
「4月になったら頑張る」
「塾が決まったら本気を出す」
と考えているのであれば、一度注意した方がいいでしょう。
「環境が整えば頑張れる」は一度疑ってみる
塾が決まっていなくても、英単語を覚えることはできます。
数学を復習することもできます。
現役時代の教材を開くこともできます。
つまり、今できることはすでにあるということです。
それでも何もしていないのであれば、
「環境さえ整えば自分は頑張れる」
という期待が本当に正しいのか、一度考えてみる必要があります。
浪人したいと言っているかどうかではなく、
浪人する人の行動を、すでに始めているか。
これは、浪人するかどうかを考えるうえで大きな判断材料になります。
浪人に向いている人・慎重に考えた方がいい人
ここまでの内容を、一度簡単に整理してみましょう。
これは性格診断ではありません。
当てはまる項目が多ければ必ず成功する、少なければ浪人してはいけない、というものではなく、判断材料の一覧として見てください。
浪人に向いている人
- 浪人する理由が自分の中にある
- 現役時代にもある程度受験勉強に取り組めていた
- 不合格になった原因を考えようとしている
- 必要なら勉強方法を変えられる
- すでに次の勉強を始めている
- 一年間勉強を続ける覚悟がある
- 周囲からの指摘を受け入れられる
浪人を慎重に考えた方がいい人
- 浪人する理由がなんとなく
- 周囲が浪人するから自分も浪人したい
- 現役時代にほとんど勉強せず、今も行動が変わっていない
- 環境さえ変われば頑張れると思っている
- 大学名を上げることだけが目的になっている
- もう一年勉強すること自体には強い抵抗がある
浪人を慎重に考えた方がいい項目に当てはまるからといって、浪人してはいけないという意味ではありません。
ただ、今のまま一年だけ増やしても、現役時代と同じことを繰り返す可能性があるということです。
浪人を選ぶなら、
「何を変える必要があるのか」
まで考えておきましょう。
学力を大きく伸ばすことだけが浪人の価値ではない
浪人というと、
「偏差値を上げる一年」
「大学のランクを上げる一年」
と考えがちです。
もちろん、受験をする以上、第一志望合格を目指すのが基本です。
ただ、それだけで一年の価値を考える必要はありません。
学習の土台となる力は、一年でどこまで伸びるか読みづらい
受験勉強では、
- 知識を覚える
- 問題の解き方を学ぶ
- 演習量を増やす
といったことだけでなく、
- 文章を論理的に読む
- 人の説明を正確に理解する
- 自分の考えを整理する
- 計画を立てる
- 自分の行動をコントロールする
- 失敗の原因を考える
といった力も必要になります。
こうした力は、単語を1000語覚えるように、
「何か月やればここまで伸びる」
と明確に予測しにくい部分があります。
そのため、学習の土台となる力が現時点で弱い場合、浪人すれば必ず難関大学まで大きく伸びるとは言い切れません。
一年でどこまで伸びるかは、人によってかなり差があります。
それでも一年を、自分を成長させる時間にはできる
一方で、
毎日決まった時間に勉強する。
計画を立てる。
うまくいかなかった理由を考える。
人の話を聞く。
自分のやり方を修正する。
苦手なことから逃げずに取り組む。
こうしたことを一年続ける中で、
- 論理的に考える力
- 計画力
- 自制心
- 忍耐力
- 人の話を聞く力
- 自分の課題を把握する力
を鍛えることはできます。
もちろん、
「成績が上がらなくても人間的に成長できればそれでいい」
という話ではありません。
受験をする以上、合格を目指して努力するのが前提です。
ただ、浪人した一年の価値を、最終的な大学名だけで評価しなくてもいいとは思います。
その一年を通して、自分自身がどれだけ変われたのか。
それも浪人生活の一つの価値です。
浪人ではなく、受かった大学へ進学した方がいいこともある
浪人するか迷っていると、
「ここで進学したら逃げたことになる」
「第一志望ではない大学へ行ったら後悔する」
と考えてしまうことがあります。
でも、浪人しないこと=妥協ではありません。
第一志望ではなかった大学にも、その先の可能性はある
滑り止めとして受けた大学でも、実際に進学すれば、
- 面白い授業
- 研究
- 人との出会い
- 留学
- 資格取得
- インターン
- サークルや課外活動
など、さまざまな経験ができます。
入学前にはあまり魅力を感じていなかった大学でも、そこで出会った人や経験によって、その後の進路が変わることもあります。
また、特に理系で将来研究をしたい人なら、学部卒業後に大学院で改めて進路を選ぶという考え方もあります。
大学院は学部とは別に入試があり、他大学の大学院を受験することもできます。
大学や専攻によって難易度は大きく異なるため一概には言えませんが、学部入試では届かなかった大学でも、大学4年間で専門性や基礎学力を身につけたうえで、大学院進学のタイミングでもう一度挑戦できる場合があります。
もちろん、この道も自動的に開けるわけではありません。
進学した大学で専門分野をしっかり学び、研究に必要な力を身につけたうえで、改めて大学院入試に挑戦する必要があります。
研究をしたいからといって、
「学部の段階で第一志望に入れなければ終わり」
というわけではありません。
大学に進学してからしっかり学び、その先の大学院で改めて勝負する。
そういう進路もあります。
第一志望ではなかったからといって、進学した瞬間にその後の可能性まで決まるわけではありません。
一年を大学生活に使うという選択もある
浪人すれば、一年間を受験勉強に使います。
一方、進学すれば、その一年を大学生活に使えます。
例えば、
- 専門分野を学ぶ
- 英語を勉強する
- 資格を取る
- 留学へ向けて準備する
- インターンに参加する
- 大学外の活動を始める
といったこともできます。
つまり、
浪人する一年にも価値があり、進学する一年にも価値があります。
どちらが正解かではなく、
自分にとってどちらの一年の方が価値があるのか。
そこまで考えて選ぶことが大切です。
浪人するなら、費用や家庭の条件も確認しておく
浪人するかどうかは、最終的には本人が決めることです。
ただし、浪人生活には費用もかかります。
塾や予備校に通うなら授業料が必要ですし、翌年にはもう一度、受験料や交通費などもかかります。
浪人生の予備校・塾に実際どれくらいの費用がかかるのかは、「浪人生の予備校・塾にかかる年間費用と追加料金」で詳しく整理しています。
また、自宅で浪人する場合でも、一年間生活を支えてもらうことには変わりありません。
そのため、
「自分が浪人したいか」だけではなく、家庭としてもう一年の受験生活を支えられるか
も事前に確認しておく必要があります。
ここで大切なのは、
「親がお金を出してくれるなら浪人していい」
という話ではありません。
本人がなぜ浪人したいのか。
そのために何を変えるつもりなのか。
どこを目指すのか。
そうしたことを家族にもきちんと伝えたうえで、費用や生活面も含めて話し合うことが大切です。
このとき、保護者がどこまで本人の受験に関わり、家庭としての条件をどう伝えればいいのか迷う場合は、浪人生の親の接し方で詳しく整理しています。
経済的な事情によって浪人が難しいのであれば、それは本人の覚悟とは別の問題です。
受かった大学へ進学する選択も含めて、現実的な条件の中で納得できる進路を考えてください。
浪人しても進学しても、後悔する可能性はある
浪人すれば絶対に後悔しない。
進学すれば絶対に後悔する。
もちろん、そんなことはありません。
どちらを選んでも、
「あのとき別の選択をしていたら」
と考える可能性はあります。
浪人して後悔しやすいのは、
「とりあえずもう一年」という気持ちのまま浪人し、現役時代と同じ生活や勉強を繰り返してしまった場合です。
反対に、進学したあとに、
「やっぱりもう一度挑戦すればよかった」
と思うこともあります。
特に、
本当は浪人してもう一度挑戦したかったのに、
周囲に言われるまま進学した。
自分がなぜ浪人したかったのかを十分考えないまま決めた。
という場合は、後悔が残ることもあるでしょう。
だから大切なのは、
絶対に後悔しない選択肢を探すことではなく、自分で考えて納得して選ぶこと
です。
浪人するなら「何を変える一年にするか」を決める
最終的に浪人を選ぶのであれば、
「来年こそ受かる」
という気持ちだけで一年を始めない方がいいでしょう。
浪人するということは、単純に受験までの期間が一年増えることではありません。
浪人を選んだあと、現役時代より志望校を上げるか迷っている場合は、「浪人で志望校を上げるときの判断基準」も参考にしてください。
現役時代と同じ一年を繰り返さない
現役時代に第一志望へ届かなかったのであれば、何かは変える必要があります。
例えば、
- 勉強方法
- 勉強量
- 学習計画
- 生活リズム
- 質問できる環境
- 周囲との関わり方
- 志望校の設定
- 自分の考え方
などです。
全部を変える必要はありません。
でも、何も変えずに時間だけ一年増やしても、結果まで変わるとは限りません。
浪人するなら、
「一年増えた」
ではなく、
「一年の使い方を変える」
という意識を持つことが大切です。
浪人することを決めたあと、宅浪で進むか塾・予備校を利用するか迷っている場合は、「宅浪と塾・予備校の判断基準」から考えてみてください。
迷うなら、第三者に「浪人すべきか」を決めてもらわない
浪人するかどうかは、一人で考えるのが難しい問題です。
親や学校の先生、塾や予備校の先生などに相談するのもよいでしょう。
ただし、
「浪人した方がいいですか?」
と答えだけを求めるより、
- なぜ自分は浪人したいのか
- 現役時代に何が足りなかったのか
- 今は何をしているのか
- もう一年で何を変えたいのか
- 浪人した場合にどこを目指すのか
を一緒に整理してもらう方が役に立ちます。
浪人後に、自分の状況を継続して見ながら相談できる環境を探す場合は、「浪人生の塾・予備校の選び方」も参考にしてください。
第三者には、自分では気づきにくい部分を見てもらう。
でも、最後に決めるのは自分です。
自分で納得して決めた選択でなければ、苦しくなったときに続けにくくなります。
まとめ|浪人する理由が「自分の中にあるか」をまず考える
浪人するか、受かった大学へ進学するか。
簡単に決められる問題ではありません。
だからこそ、
「第一志望に落ちたから」
「周りも浪人するから」
「学歴を一段上げたいから」
だけで決めない方がいいでしょう。
考えてほしいのは、
- なぜ浪人したいのか
- 現役時代にどれくらい取り組めたのか
- なぜ十分な結果につながらなかったのか
- 今すでに行動を始めているか
- 一年間勉強を続けられそうか
- その一年で何を変えたいのか
です。
浪人すること自体が正解でも、進学すること自体が正解でもありません。
大切なのは、その一年を使ってでも実現したいものが、自分の中にあるか。
そして、そのために今から行動を始められるか。
絶対に後悔しない選択肢を探すのではなく、
自分で考えて、納得して選ぶ。
浪人するか迷ったら、まずそこから考えてみてください。
この記事を書いた人
大学受験指導歴 約20年。集団授業・少人数指導・個別指導・学習管理・自習指導・オンラインなど、さまざまな形式で高校生・浪人生の受験指導に携わってきました。
「誰にでも同じ正解があるわけではない」という考えのもと、現場での経験と公式情報を分けながら、受験生が自分に合う選択を考えるための記事を執筆しています。
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宅浪で進むか、塾・予備校を利用するかは、現役時代にうまくいかなかった原因から考えることが大切です。
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塾・予備校を利用する場合は、一年間でどれくらい費用がかかるのかも事前に確認しておきましょう。
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