浪人生の併願校・安全校はどう決める?滑り止めの選び方と受験日程の組み方

3つの足場と開いた本、羅針盤を背景に「浪人生の併願校・安全校はどう決める? 滑り止めの選び方と受験日程の組み方」と書かれたアイキャッチ画像 浪人するか・進路

浪人生が受験校を決めるとき、第一志望だけを考えればいいわけではありません。

どの大学を受けるのか。どこを実力相応と考えるのか。どこを滑り止めにするのか。

さらに、何校受けるのか、どの順番で受けるのか、合格発表はいつなのか、入学手続はいつまでなのかまで含めて考える必要があります。

受験校を増やせば安心できるようにも見えます。

しかし、受験には費用がかかり、本番そのものにもかなりの体力を使います。

反対に、第一志望だけに絞りすぎれば、その年最初の入試でいきなり最大の力を求められることになります。

大切なのは、

受かりそうな大学をたくさん並べることではなく、第一志望まで含めた受験全体を設計すること

です。

この記事では、第一志望以外に受験する大学を広く「併願校」、その中でも合格可能性が高く、実際に進学してもよいと思える大学を「滑り止め」と呼びます。

一般には「安全校」と呼ばれることもありますが、ここでは単に合格可能性が高いだけではなく、実際に進学する可能性まで含めて考えるため、「滑り止め」という言葉を中心に使います。

浪人生の併願校・滑り止めをどう考えればいいのか、過去問・受験校数・入試日程・入学手続まで含めて整理します。

滑り止めは「偏差値が低い大学」ではない

私は基本的に、

合格可能性が高く、もしそこだけに合格したとしても進学を検討できる大学

を滑り止めと考えています。

偏差値が低ければ何でもいいわけではありません。

受かっても絶対に進学しないのであれば、その合格は進路の選択肢にならないからです。

もちろん、

「本当はここまで下げたくない」

という気持ちはあるでしょう。

ただ、多くの浪人生にとって、もう一年浪人することは簡単な選択ではありません。

第一志望に届かなかった場合に、

「ここなら進学してもいい」

と思えるところまで候補を広げることも、受験戦略の一部です。

滑り止めだからこそ雑に決めるのではなく、本当に進学する可能性のある大学として考えておきたいところです。

学部・学科も「滑り止めだから」で適当に決めない

本当に進学する可能性がある大学として考えるのであれば、大学名だけでなく、できれば学部・学科まで確認しておきたいところです。

理想を言えば、

将来何をしたいのか。

そのために何を学びたいのか。

そこから逆算して学部・学科まで考えられるといいでしょう。

ただ、高校生や浪人生の段階で決めたことが、その後もずっと変わらないとは限りません。

大学に入り、それまで知らなかった世界に触れれば、別の方向へ進みたくなることもあります。

だから「絶対にこの道でなければならない」とまで決める必要はありません。

それでも、

今の自分が調べられる範囲で、本当にここへ進学してもいいと思えるか。

ここまでは考えておきたいところです。

滑り止めだからといって、大学名だけを見て興味のない学部へ大量に出願するのは避けたいと思います。

まずは「チャレンジ・実力相応・滑り止め」で候補を出す

最初から一校ずつ細かく分析していると、なかなか候補が決まりません。

そこで最初の段階では、

チャレンジ・実力相応・滑り止め

という3つの層に分けて考えてもいいと思います。

実際の難易度は連続的なので、大学がきれいに3種類へ分かれるわけではありません。

それでも、候補を探す段階では便利です。

あくまで私が普段の指導で使う出発点の一つですが、私立大学を中心に受験する場合なら、

チャレンジ1校程度、実力相応2〜3校程度、滑り止め1〜2校程度

から考えることが多いです。

もちろん、本人の学力、性格、志望度、国公立との併願、入試日程によって変わります。

最初は偏差値帯などから広めに候補を出し、

そのあと過去問・入試方式・日程を見ながら絞っていく。

この順番で考えると整理しやすくなります。

そもそも浪人して現役時代より高い大学を目指していいのか、チャレンジ校をどこまで上げるか迷っている場合は、浪人で志望校は上げてもいい?どこまで上を目指せるか判断基準も参考にしてください。

滑り止めかどうかは「偏差値」より過去問で判断する

偏差値や模試判定は、受験校候補を探すときの参考にはなります。

ただし、

「偏差値がこれだけ下だから安全」
「A判定だから滑り止め」

と考えるのは怖いところです。

同じ偏差値帯の大学でも、問題形式、科目数、配点、時間制限、得意科目との相性は異なります。

そのため、私は最終的な判断では、

実際の過去問でどれだけ点を取れているか

を重視します。

模試判定はあくまで参考材料

模試のA・B・Cといった判定も、一つの情報ではあります。

ただ、

「A判定だから大丈夫」
「D判定だから無理」

という判断には情報が足りません。

模試では同じような成績でも、ある大学では英語の形式が合う一方で、別の大学では数学で時間が足りないことがあります。

得意科目の配点が高ければ、同じ学力帯でも総合点を作りやすくなることもあります。

大切なのは判定そのものより、

その大学の問題で、本人がどう得点を作れるのか

を見ることです。

偏差値や模試判定は候補を探す材料。

過去問は、その候補が実際に自分に合っているかを確認する材料。

私はこのくらい役割を分けて考えています。

模試についても、判定だけでなく得点の中身や失敗の原因までどう見ればいいのかは、浪人生は模試をどう使う?判定より大切な受け方・復習・見直し方で詳しく整理しています。

滑り止め候補でも過去問を解いて確認する

「ここなら十分滑り止めになりそうだ」

と考えている大学でも、一度は実際に過去問を解いて確認したいところです。

たとえば、ほぼ満点に近い得点が取れていたり、過去の合格最低点をかなり余裕を持って上回っていたりするなら、最初の確認としては1年分でも判断材料になることがあります。

一方、

「思ったより取れない」
「合格最低点付近だった」

という場合は、複数年解いて再現性を見ます。

それでも余裕がなければ、

その大学を滑り止めではなく、実力相応として考え直す

こともあります。

なお、過去の合格最低点は年度によって変わりますし、大学によっては得点調整などもあります。

そのため、

「最低点を○点上回れば絶対に安全」

という固定基準を作るのではなく、得点差だけでなく問題との相性や得点の安定性まで見て判断した方がいいでしょう。

これは、現役時に合格した大学でも同じです。

「去年受かったから今年も大丈夫」と考えるのではなく、前年の結果はいったん脇に置き、今年の学力で改めて過去問を確認します。

過去問をいつから始めるか、何年分解くか、解いたあとに何を確認するかについては、浪人生は過去問をいつから始める?始める時期と使い方で詳しく解説しています。

得意科目と配点の相性も見る

受験校を決めるときは、大学全体の難易度だけでなく、

自分の得意科目をどれだけ生かせる入試なのか

も確認したいところです。

英語が得意なら英語の配点が高い方式。

数学が大きな弱点なら、数学を使わない方式。

記述問題が得意なら、その強みを生かせる試験。

同程度の難易度に見える大学でも、本人との相性は変わります。

受験は総合点で決まります。

だからこそ、

自分がどこで点を作れるのか

まで考えて比較することが重要です。

受験校は「多いほど安心」ではない

私立大学を中心に考える場合、先ほどのように大学単位では4〜6校程度から候補を組むことが多いです。

ただし、実際の負担を見るときは大学数だけでは足りません。

同じ大学でも、学部別方式と全学部方式を別日に受験すれば、本番は2回あります。

そのため最終的には、

大学の数とは別に、「実際に試験会場で受ける回数」がどのくらいになるか

も確認する必要があります。

私は、大学そのものを10校以上受けるような設計は基本的には多すぎると考えています。

同時に、大学数が少なくても複数方式を大量に入れれば、日程上の負担は大きくなります。

理由は単純で、

入試は思っている以上に疲れるからです。

試験会場まで移動する。

慣れない場所で過ごす。

緊張した状態で何時間も集中する。

そして帰宅する。

机に向かって同じ時間勉強するのとは、また違う疲労があります。

受験機会を増やした結果、本当に大切な大学の試験日に疲れていては意味がありません。

できれば受験と受験の間に一日空ける

私は、可能であれば受験と受験の間に一日空けるように日程を組みます。

連続しても2日まで。

どうしても避けられない場合には3連戦を組むこともありますが、その場合は3日目に志望順位の低い大学を置くなど調整します。

これは絶対的なルールではありません。

体力や移動距離、試験科目数によっても負担は変わります。

ただ、

「日程上受けられる」ことと「その日に十分な力を出せる」ことは違う

という視点は持っておきたいところです。

浪人生ほど第一志望の前に本番を経験しておきたい

特に浪人生では、第一志望がその年最初の入試になる形は、私はできるだけ避けたいと考えています。

模試と本番は違います。

会場までの移動、当日の朝、周囲の受験生、試験開始前の緊張、休み時間の過ごし方。

こうしたものは、実際の入試を経験して初めて分かる部分があります。

いきなり第一志望で最高のパフォーマンスを出そうとするより、

滑り止め → 実力相応 → 第一志望

と少しずつ本番に慣れていく。

私は、浪人生ほどこの流れを意識して日程を組みたいと思っています。

もちろん、大学によっては第一志望の試験日が早かったり、入試日程の都合でこの順番を作れなかったりすることもあります。

必ずこの順番にしなければならないわけではありません。

それでも、可能な範囲で第一志望より前に一度本番を経験できないかを考える価値はあると思います。

滑り止めは1〜2校を目安に考える

滑り止めは、1〜2校程度から考えることが多いです。

一校で十分な人もいます。

一方で、

「一つでも合格を持っていないと不安で、本命に集中できない」

という人もいます。

また、本番で強く緊張しやすい人なら、一度の試験だけで滑り止めを確保するより、複数回受けられる形にした方が安心できる場合もあります。

同じ大学の別学部や別方式を利用する方法もあります。

重要なのは、

何校なら安全なのかではなく、どんな状態なら本人が落ち着いて第一志望へ向かえるのか

です。

本人の性格まで含めて決めたいところです。

同じ大学を複数方式で受けるのもあり

どうしても行きたい大学があり、合格できるかどうかのラインにいるなら、全学部方式、学部別方式、別日程など、複数の入試機会を利用することはあります。

一度の本番では、問題との相性や当日の調子によるブレもあります。

その意味では、受験機会を増やすことに意味があります。

ただし、

現在の実力が大きく届いていない状態で、同じような入試を何度受けても状況は大きく変わりません。

その場合は、別の大学へ受験機会を分散した方がいいこともあります。

ただ、方式によって科目や配点が大きく異なる場合は別です。

ある方式では厳しくても、別の方式では自分の得意科目を生かせて合格圏に入ることもあります。

単純に「何回受けるか」ではなく、

それぞれの方式が自分の得点特性に合っているか

まで見て判断したいところです。

記念受験は本命を邪魔しない範囲で

第一志望とは別に、さらに難しい大学も受けてみたいという人もいます。

本当にその大学へ行きたいのであれば、そこを本気で目指すこと自体は問題ありません。

一方、

「せっかくだから記念に受けてみたい」

という程度であれば、私は本命の日程や対策を圧迫しないことを条件に考えます。

記念受験のために大きな対策時間を使い、第一志望の準備が削られるのであれば本末転倒です。

共通テスト利用を「滑り止め」にするかは慎重に考える

私は、

滑り止めを確保することだけを目的とした共通テスト利用には、かなり慎重です。

理由は大きく2つあります。

一つは、合格発表や入学手続の日程です。

大学・方式によって日程は異なりますが、共通テスト利用では一般方式より早い段階で合格発表や手続期限を迎えるケースもあります。

一般入試でも十分に余裕を持って合格できると判断している大学に、

「念のため」

という理由だけで共通テスト利用まで追加することで、かえって早い段階で入学金を支払うかどうかの判断が増えることもあります。

もう一つは、共通テスト対策に必要な時間です。

特に私立専願の場合、

共通テスト利用を狙うための対策が、一般入試対策を圧迫しないか

を見る必要があります。

共通テストは、私立大学の一般入試とは異なる形式への対応が必要になる科目もあります。

一般入試の対策だけでも時間が足りない人が、

「共通テストは基礎的な試験だから、念のため受けておけば何とかなるだろう」

と考えて対策範囲を広げるのは、私はおすすめしません。

一方で、共通テスト利用そのものが悪いわけではありません。

国公立志望など、もともと十分に共通テスト対策をしている人。

共通テスト形式との相性が良い人。

共通テスト利用の科目・配点が自分の得意分野に合っている人。

こうした場合は、私立専願であっても利用する価値があります。

実力相応以上の大学を共通テスト利用で確保できれば、一般入試の日程を一つ減らせることもあります。

つまり、避けたいのは共通テスト利用そのものではなく、

対策コストや入試日程への影響を考えず、「念のため」だけで出願を増やすこと

です。

出願方式も、多ければ多いほど安全になるわけではありません。

なお、共通テストを受験する場合は、大学への出願とは別に、共通テスト自体の出願手続きが必要です。2027年度は浪人生も個人でWeb出願するため、期限や必要なものは「2027年度|浪人生の共通テスト出願方法」で確認できます。

試験日だけでなく「入学手続締切」まで見る

受験日程を組むとき、試験日だけを一覧にして終わってはいけません。

合格発表日、入学手続締切、必要な納入金まで確認します。

これらの日程は大学や入試方式によって異なります。

大学によっては、入学手続の一部を待ってもらえる制度や、納入時期を調整できる制度が用意されている場合もあるため、募集要項で確認しておきたいところです。

たとえば滑り止めには合格した。

しかし、その大学の入学手続期限が第一志望の合格発表より前に来る。

この場合、

第一志望の結果が分からない状態で、滑り止めの席を確保するために入金するのか

を決めなければなりません。

受験が始まってから考えればいいようにも見えます。

しかし実際には、試験や合格発表が次々と続きます。

その中で毎回ゼロから家族で話し合うのはかなり大変です。

だからこそ受験校を決める段階で、

「この大学だけ合格していたら入金する」
「ここに合格したら、その前の大学には入金しない」

といったパターンをある程度想定しておきます。

受験日だけではなく、お金を払う日まで含めて受験日程です。

ここは保護者とも事前に共有しておきたいところです。

「どこまでなら進学するか」は親子で先に話しておく

浪人生では、本人と保護者で滑り止めへの考え方が違うこともあります。

本人は、

「この大学より下なら行きたくない」

と思っている。

保護者は、

「再浪人は避けてほしい」

と考えている。

どちらかが間違っているという話ではありません。

ただ、この話を合格発表後に初めてすると、感情的になりやすくなります。

受験が始まる前に、どこまでなら進学するのか、再浪人を考えるのか、どこまで入学金を払うのか、最悪の場合どうするのかを話しておくことが大切です。

実際には、受験前には

「この大学なら行かない」

と思っていても、そこしか合格しなければ気持ちが変わることもあります。

だから、最初に決めたルールを絶対視するというより、

考えられる選択肢とリスクを、本人と保護者の双方が共有しておく

ことに意味があります。

浪人生は「去年とは違うプレッシャー」まで考える

浪人生を見ていると、一年間受験に向けて勉強してきた分、本番にかかるプレッシャーが現役時代とは変わることがあります。

現役時にはそれほど緊張しなかった人が、

「今年は絶対に受からなければ」

と考えることで、浪人後の入試では強く緊張することもあります。

一年間頑張ってきたからこそ、結果を出したいと思うのは自然なことです。

だから、

「去年も受験したから、本番には慣れている」

とは限りません。

滑り止めから始まり、実力相応校を経て、本命へ向かう。

途中で一つ合格が取れれば、精神的な余裕につながる人もいます。

受験校の組み方は、単なる合格確率の調整ではなく、

第一志望の日に、できるだけ良い状態で試験会場へ入るための準備

でもあります。

まとめ|滑り止めまで含めて第一志望のための受験戦略

受験で一番大切なのは、最後に本人が、

「自分なりにやり切った」

と思えることだと私は考えています。

そのためには、第一志望だけを見ていればいいわけではありません。

チャレンジ校や実力相応校、滑り止めをどう組むのか。

過去問との相性はどうか。

連戦で疲れすぎないか。

合格発表と入学手続はどう重なるのか。

どこまでなら進学するのか。

そして、本人がどんな状態なら第一志望で力を出しやすいのか。

すべてを完璧に予測することはできません。

ただ、

起こり得ることをできるだけ先に想定し、「この場合はこうする」と準備しておくこと

はできます。

特に浪人生にとって、滑り止めはただの保険ではありません。

滑り止めで本番を経験する。

一つ合格を持った状態で次の試験へ進む。

実力相応校を経て、第一志望へ向かう。

その流れ自体が、第一志望で力を出すための準備になります。

だからこそ、

滑り止めも、本当に進学する可能性のある大学として、過去問・日程・入学手続まで確認して決める。

併願校選びは、第一志望に落ちたときの保険を用意する作業ではありません。

第一志望の日に、自分の力をできるだけ出し切り、受験が終わったときに「やり切った」と思える状態を作るための受験戦略です。

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