「今の予備校、自分には合っていない気がする」
「授業を受けているのに成績が伸びない」
「このまま続けるより、別の塾に変えた方がいいのではないか」
浪人生活が続くなかで、こう感じることはあると思います。
実際、塾や予備校にはそれぞれ指導方針や授業形式、サポートできる範囲があり、すべての人に同じ環境が合うわけではありません。
ただ、「合わない」と感じたときに大切なのは、すぐに辞めるかどうかを決めることではありません。
まず、
何が合っていないのか。
その原因は塾側にあるのか、それとも自分の側にもあるのか。
を整理することです。
大学受験の指導現場では、「塾を変えた方がいい」と思うケースもあれば、環境を変えるより先に本人が見直した方がいいケースもあります。
この記事では、「予備校・塾が合わない」と感じたときに、辞める・変えると判断する前に考えてほしいことを整理します。
まず「何が合わないのか」を具体的にする
「予備校が合わない」と感じたとき、最初に確認したいのは、
具体的に何が合わないと思っているのか
です。
同じ「合わない」でも、状況はかなり違います。
| 感じていること | 確認したいこと |
|---|---|
| 授業についていけない | 授業レベルが高すぎるのか、予習・復習が足りないのか |
| 授業が役に立っていない気がする | 内容が簡単すぎるのか、理解しただけで演習につなげられていないのか |
| 質問しにくい | 質問できる制度がないのか、制度はあるが利用できていないのか |
| 計画通り進まない | 計画や管理に問題があるのか、本人が実行できていないのか |
| 先生と合わない | 指導そのものに問題があるのか、指摘を受け入れにくくなっているのか |
| 通うのがつらい | 人間関係なのか、通学時間なのか、生活リズムなのか |
ここを曖昧なまま「とりあえず別の塾へ行こう」と考えると、転塾先でも同じ問題が起こる可能性があります。
まずは「合わない」という感覚を、具体的な問題に変えてみてください。
塾は、自分にすべて合わせてもらう場所ではない
ここで一つ、大切にしてほしい考え方があります。
塾は、自分のやりやすいようにすべてを合わせてもらう場所ではありません。
もちろん、授業のレベルや指導方法、先生との相性は重要です。
ただ、受験勉強では、自分のこれまでのやり方を変えたり、苦手なことに取り組んだり、耳の痛い指摘を受け入れたりする場面もあります。
塾は、自分の目的を達成するために利用するものです。
環境から得られるものを理解したうえで、自分自身もある程度は適応していく必要があります。
一方で、本当に必要な指導がその塾になかったり、現在の学力と授業レベルが大きくずれていたりすることもあります。
だからこそ、「合う・合わない」という感覚だけで判断せず、原因を分けて考える必要があります。
原因は塾側にあるのか、自分側にあるのか
塾側に原因があるケース
本当に環境とのミスマッチが起きているケースはあります。
たとえば、現在の学力では1対1に近い形で一つずつ確認しながら進める必要があるのに、通っている塾では集団授業しか受けられない場合です。
実際、私自身も指導現場で、
「今のこの生徒には、こちらの指導形式よりも1対1でつきっきりに近い形で教えてもらえる環境の方がいい」
と判断し、別の塾を提案することがあります。
これは、その塾が良い・悪いという話ではありません。
その生徒が今必要としているものと、その塾が提供できるものが一致していないということです。
ある科目だけ授業レベルが大きく合わず、システム上クラスを変更できない場合なども同じです。
今の自分に必要なサポートを、その環境ではどうしても受けられない。
そこまで整理できたのであれば、環境を変えることには意味があります。
本人側を見直した方がいいケース
一方で、環境を変える前に本人側を見直した方がいいケースもあります。
たとえば、
- 指導されたことを十分に実行していない
- 説明を最後まで聞く前に、自分なりの解釈に置き換えてしまう
- 受け入れにくい指摘をされたときに、「この先生とは合わない」と判断してしまう
- 問題が起きるたびに、まず環境のせいだと考えてしまう
といった場合です。
この状態で塾を変えても、別の環境で同じことが起きる可能性があります。
もちろん、指導者側にも伝え方を工夫する責任はあります。
ただ、指導を受ける側にも、
相手が何を伝えようとしているのかを一度正確に受け取り、自分で考える姿勢
は必要です。
「今の環境に問題があるのではないか」と考えること自体は悪くありません。
そのときに、自分にも改善できるところがないかを同時に考えることが大切です。
成績が伸びないだけで「塾が合わない」とは限らない
「成績が思ったほど上がっていない」という不安から、予備校を変えたいと考えることもあります。
ただ、
成績が伸びない=塾が合っていない
とは限りません。
前述したように、まずは何が原因なのかを具体的にしたうえで、
その原因を今の環境で解決できるのか
を考えてください。
今の塾ではどうしても解決できないと分かったときに、初めて転塾を選択肢に入れればいいと思います。
成績が伸びない原因は、勉強時間や勉強方法、計画の立て方など、塾以外にあることもあります。
「そもそも、なぜ成績が伸びていないのか」をもう少し整理したい場合は、浪人生の成績が上がらない原因と見直し方も参考にしてみてください。
原因を整理したら、まず今の塾に相談してみる
「何が合わないのか」がある程度見えてきたら、すぐに転塾先を探す前に、今の塾の担当者へ相談してみるのも一つの方法です。
たとえば、
- クラスを変更できないか
- 授業数を調整できないか
- 質問しやすい方法はないか
- 担当者を変更できないか
- 苦手科目だけ別の対応ができないか
など、相談することで解決できる問題もあります。
最初から「辞めるか続けるか」の二択にする必要はありません。
今の環境の中で改善できる余地があるなら、まずそこを試してみる価値があります。
保護者側から見て「今の塾のままで大丈夫なのか」と不安になっている場合も、すぐ本人へ転塾を勧める前に、まず状況を確認してみてください。保護者が受験中の本人とどう関わるかについては、浪人生の親の接し方で詳しく整理しています。
「合わなくなった」のではなく、成長して必要なくなることもある
もう一つ考えておきたいのが、
以前は必要だった環境が、今の自分には必要なくなった
というケースです。
浪人を始めたころは、
- 何を勉強するか決めてもらう
- 進捗を確認してもらう
- 分からない問題を教えてもらう
- 勉強する時間まで管理してもらう
といったサポートが必要だったかもしれません。
しかし、受験勉強を続けるなかで、
- 自分で計画を立てられるようになった
- 解説を読めば自力で理解できるようになった
- 模試の結果から課題を考えられるようになった
という変化も起こります。
その結果、以前ほど塾のサポートを必要としなくなる。
これは「塾が合わなかった」というより、
その環境で得るべきものを得て、自分で進められるようになった
と考えた方が近いでしょう。
環境を変える理由は、不満だけとは限りません。
自分の成長によって、必要なサポートそのものが変わることもあります。
塾を変えるなら「失うもの」も考える
新しい塾を探し始めると、新しい環境のメリットに目が向きやすくなります。
ただ、転塾するときには、
今の環境から失うもの
も考えてみてください。
特に大きいのが、これまで築いてきた信頼関係です。
指導現場で見ていると、長く関わっている先生や担当者ほど、
- これまでどんな勉強をしてきたのか
- どの科目でつまずいてきたのか
- どんなときに計画が崩れやすいのか
- どういう指摘なら本人に伝わりやすいのか
といった、数字だけでは分からない部分まで理解している場合があります。
新しい塾へ移れば、基本的にはそこから関係を作り直すことになります。
もちろん、それ以上に大きなミスマッチが起きているのであれば転塾する意味はあります。
ただ、
「新しい塾の方が少しサービスが多そう」
「なんとなく今より良さそう」
という程度であれば、すでに築いた信頼関係の方が大きな価値を持っていることもあります。
変えることで得るものと、失うものの両方を見る。
転塾を考えるときには、この視点も必要です。
塾を辞めずに、足りない部分だけ補う方法もある
今の予備校に不満があるからといって、すべてを一度リセットする必要はありません。
たとえば、英語や国語の授業には満足しているけれど、数学だけ授業レベルが合っていない。
その場合、数学だけ個別指導や質問できる環境を追加する方法もあります。
授業には満足しているけれど、学習計画を一人で管理できないのであれば、計画や進捗管理だけ別のサービスで補うこともできます。
ただし、併用すれば必ずうまくいくわけではありません。
大切なのは、
それぞれの役割を明確にしておくこと
です。
たとえば二つの塾で数学を習い、それぞれ違う方針で進めると、本人がどちらを優先すればいいのか分からなくなることがあります。
「予備校では授業を受ける」
「個別指導では苦手な数学だけを見る」
「学習管理では一週間全体の計画を確認する」
というように役割が明確なら、併用も一つの選択肢です。
このうち「学習管理だけを補う」ことを検討している場合は、浪人生向け学習管理型塾の比較で、毎日の実行管理・週次の計画修正・理解度確認など、サービスごとの支援方法を比べています。
もちろん、その分費用はかかります。
だからこそ、何となくサービスを追加するのではなく、
自分に足りないものだけを補う
という考え方が大切です。
集団授業・個別指導・学習管理・オンライン指導では、それぞれ得意としているサポートが違います。
「自分にはどんな指導が必要なのか」を整理したい場合は、集団・個別・学習管理・オンラインの違いで、それぞれの特徴と向いている人を比較しています。
時期によっては「全部変える」より一部を補った方がいいこともある
塾を変える判断では、時期も考える必要があります。
春であれば、新しい環境で年間の計画を作り直し、そこから学習を積み上げる時間があります。
一方、夏が終わり秋以降になると、指導する側から見ても使える手札はかなり限られてきます。
新しい塾へ入り、
新しい先生と関係を作り、
教材や指導方針に慣れ、
そこから学習を立て直す。
残された時間を考えると、それ自体が負担になることもあります。
特に集団授業では、すでにカリキュラムがかなり進んでいる場合もあります。
そのため時期によっては、
- 苦手科目だけ個別指導を追加する
- 質問環境だけ用意する
- 学習計画だけ見てもらう
といった形の方が現実的です。
通塾先を変えずに、質問対応や苦手科目の指導などをオンラインで補う方法もあります。受講方法や支援範囲を比較したい場合は、浪人生向けオンライン塾の比較記事で、自分に必要な支援を受けられるか確認してみてください。
ただし、
時期が遅いから変えない方がいい、という意味ではありません。
今の環境で問題が解決できないまま時間を使うことにもリスクがあります。
変えるリスクと、変えないリスク。
両方を見たうえで判断する必要があります。
予備校・塾を変えるなら「次は何が必要か」から考える
原因を整理した結果、今の塾では解決できないと判断したなら、次の環境を探して構いません。
ただ、そのときに、
「評判がいい塾はどこだろう」
「一番合格実績がある予備校はどこだろう」
と考えるところから始める必要はありません。
先に考えたいのは、
今の環境では、何が足りなかったのか
です。
授業なのか。
質問できる環境なのか。
学習計画や進捗管理なのか。
苦手科目への個別指導なのか。
自習できる場所なのか。
相談できる担当者なのか。
必要なものが分かれば、次に探すべき環境もかなり絞られます。
「今の塾が嫌だったから次へ行く」ではなく、
今回分かった自分の課題を解決できる環境を探す。
同じ理由で失敗しないためにも、この順番で考えることをおすすめします。
次の塾を探すときも、知名度や合格実績だけで決めるのではなく、今回見えてきた自分の課題を解決できる環境かどうかを基準に考えることが大切です。
具体的にどこを確認して選べばいいのかは、浪人生の予備校・塾の選び方で詳しく整理しています。
まとめ|「合わない」と感じたときこそ、原因を考える
予備校や塾を変えること自体が、正解でも不正解でもありません。
本当に必要なサポートが受けられないのであれば、環境を変えた方がいいこともあります。
一方で、自分自身に改善できる部分があるなら、そこに向き合わないまま環境だけを変えても、同じ問題を繰り返す可能性があります。
だから「合わない」と感じたときは、
何が合わないのか。
原因は塾側と自分側のどちらにあるのか。
今の環境で改善できるのか。
変えることで何を得て、何を失うのか。
まで考えてみてください。
そのうえで、
今の環境を使い続ける。
足りないものだけ別のサービスで補う。
環境そのものを変える。
どれを選んでも構いません。
大切なのは、「自分に合う塾」を探し続けることではなく、
今の自分に必要な環境を考え、その環境を自分自身も使いこなしていくこと
だと思います。
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