浪人生になると、
「過去問はいつから始めればいい?」
「基礎が終わるまで解かない方がいい?」
「秋からでは遅い?」
と迷う人は多いと思います。
私が普段指導している中では、本格的に過去問を解き始めるのは、早ければ夏、一般的には秋頃というケースが多いです。
ただし、「9月になったら全科目一斉に始める」という意味ではありません。
大切なのは、基礎固めが進んだ科目から、順番に過去問へ入っていくことです。
また、本格的に始める前の6〜7月頃に、一度志望校の過去問へ触れておくこともおすすめしています。
過去問を解く目的は、合格点を取って安心することではありません。
今の自分と合格に必要な力との間に、どんな差があるのかを知り、その差を埋めるためのヒントを得ること。
この記事では、過去問を始める時期だけでなく、その結果をその後の勉強へどう生かすかまで整理します。
- 過去問を本格的に始めるのは夏〜秋が一つの目安
- 春は早い。でも基礎が全部終わるまで待つ必要もない
- 過去問で見るポイントは時期によって変わる
- 過去問の本当の使い方|「解く→分析→普段の勉強→また解く」
- 秋以降は時間を測る。ただし時間が来ても解き続ける
- 点が取れなかったら「何が足りないのか」まで分ける
- 過去問は何年分やればいい?
- 最新年度の過去問を直前まで取っておく必要はない
- 同じ過去問を何度も解く意味はある?
- 復習・分析が追いつかないほど解く必要はない
- 1回だけ目標点を超えても安心しすぎない
- 志望校は「あと何点を残り期間で埋められるか」で考える
- 12月に初めて第一志望の過去問を解くのはかなり遅い
- まとめ|過去問は合格へ近づくためのヒントを得るもの
- 次に読む記事
過去問を本格的に始めるのは夏〜秋が一つの目安
本格的な過去問演習は、早ければ夏、一般的には秋頃からが一つの目安です。
もちろん、これは全員に当てはまる時期ではありません。
基礎固めがどのくらいの期間で終わるかは、現在の学力や志望校、科目によって変わるからです。
たとえば英語はある程度仕上がっている一方で、数学はまだ基礎固めの途中ということもあります。
その場合は、
- 英語は過去問演習を始める
- 数学は基礎演習を続ける
というように、科目ごとの仕上がり具合に合わせて進めれば構いません。
6〜7月に一度だけ解いておく
本格的な演習とは別に、6〜7月頃に一度、志望校の問題へ触れておくことをおすすめしています。
この時期に見るのは点数ではありません。
- どの程度の難易度なのか
- どんな形式で出題されるのか
- どんな力を要求されるのか
- 今勉強している基礎を、最終的にどう使う必要があるのか
といった部分です。
基礎は、覚えること自体が目的ではありません。
その先の問題を解くために使える形になって、初めて意味があります。
一度ゴールを見ておけば、
「単語を覚えるだけではなく、この速さで文章を処理できる必要がある」
「公式を知るだけではなく、こういう場面で使える必要がある」
といったことが見えてきます。
それによって、8月末頃までの基礎固めの質を見直せます。
ただし、まだ基本事項の大部分を学べておらず、問題を見ても何を問われているのかほとんど分からない段階なら、無理に過去問へ時間を使う必要はありません。
今やっている基礎と、志望校の問題とのつながりが少し見え始めた頃が、一度触れるタイミングの目安です。
春は早い。でも基礎が全部終わるまで待つ必要もない
春先から本格的に過去問を解く必要は、基本的にはないと考えています。
勉強を始めたばかりでは、現在地とゴールとの距離が遠すぎて、
「難しくて全然できなかった」
ということしか分からない場合が多いからです。
それでは、今後の勉強を修正する材料として使いにくい。
ただし、現役時代にすでに志望校レベルに近い学力があった浪人生なら、春から触れる意味が出てくることもあります。
一方で、
「基礎が完璧になるまで過去問は見ない」
というのもおすすめしません。
志望校が基礎知識をどのような形で使わせるのか知らないまま勉強を続けると、何を目指して基礎を固めているのかが見えにくくなります。
だから、
ある程度土台ができたら一度ゴールを見る。
そこで必要な力を確認し、もう一度基礎へ戻る。
この往復が大切です。
過去問で見るポイントは時期によって変わる
6〜7月頃に一度触れる段階では、前述した通り、点数よりも問題の難易度や形式を見ます。
知りたいのは、
「この大学は、受験生に何ができることを求めているのか」
です。
一方、秋以降に本格的な演習へ入ったら、見るポイントは変わります。
まず確認するのは、
自分が設定している目標点まで、あと何点足りないのか。
そのうえで、
- どの科目であと何点必要なのか
- どの失点なら減らせそうなのか
- 何を勉強すればその差が埋まるのか
- 今後1週間、1か月で何を仕上げるのか
まで具体化していきます。
ここでいう目標点は、ある年度の合格最低点をそのまま使えばいいわけではありません。
公表されている最低点があれば参考にはなりますが、年度による難易度差や得点調整などもあります。
複数年の結果も見ながら、自分がどの科目で何点取るのかという得点プランを作ることが大切です。
過去問を始める時期も含めて、春から入試までの学習全体をどう組み立てるかは、浪人生の1年間の勉強計画で詳しく整理しています。
過去問の本当の使い方|「解く→分析→普段の勉強→また解く」
過去問で一番大切なのは、解いた後だと思っています。
たとえば英語長文で時間が足りなかったとします。
そこで、
「過去問をもっと解けば速くなるだろう」
と考えて、次々に別の年度へ進んでも、必ずしも改善するとは限りません。
時間がかかった原因が、
- 単語力なのか
- 文構造を取る速度なのか
- 内容理解なのか
- 設問処理なのか
によって、必要な勉強が違うからです。
まず過去問から課題を見つける。
その原因を考え、普段使っている教材や自習へ戻る。
そこで改善したうえで、また過去問を解く。
過去問 → 分析 → 普段の勉強 → 過去問
というサイクルを繰り返します。
過去問そのものが学力を上げてくれるわけではありません。
過去問から見つけた課題を、普段の勉強で改善していくことで、少しずつ合格へ近づいていきます。
模試についても、結果そのものではなく、そこから課題を見つけて次の勉強へつなげる考え方は共通しています。詳しくは、浪人生の模試の使い方で整理しています。
秋以降は時間を測る。ただし時間が来ても解き続ける
本格的な過去問演習では、本番と同じ制限時間で解きます。
ただし、時間になったらそこで完全に終わりにする必要はありません。
制限時間の時点で一度区切りをつけ、
どこまでが本番時間内に解けた部分なのかを明確にしたうえで、その後も解けるところまで続けます。
できれば、
- 制限時間内の得点
- 時間を延長した後の得点
を分けて記録しておくと分かりやすいでしょう。
こうすると、
「時間があれば解けたのか」
「時間があっても解けなかったのか」
を切り分けられます。
たとえば100分で60点だったとしても、
120分なら85点取れる人と、
120分でも65点しか取れない人では、
課題はかなり違います。
前者なら時間配分や処理速度を優先して見直す必要があるかもしれません。
後者なら知識や思考力など、実力そのものに課題がある可能性があります。
もちろん、「実力不足」で終わらせず、その中身はさらに細かく分析する必要があります。
点が取れなかったら「何が足りないのか」まで分ける
過去問で思ったように点が取れなかったとき、
「実力不足だった」
だけで終わらせてはいけません。
普段の演習と比べて極端に点数が低いのであれば、私はまず時間の使い方を疑います。
- 一問に時間をかけすぎた
- 捨てるべき問題を捨てられなかった
- 解く順番が悪かった
- 焦って普段ならしないミスをした
といったことです。
もちろん、初めての出題形式への不慣れや緊張などが影響していることもあります。
時間の問題だけではなさそうなら、実力不足の中身をさらに分けます。
- 知識が足りない
- 記述力が足りない
- 必要な解法を選べない
- 問題文の条件を整理できない
- 知識同士をつなげられない
- 論理的に考え切れない
「実力不足」をここまで具体化して、初めて次に何を勉強すればいいのかが見えてきます。
特に秋以降は、こうして見つけた課題を普段の学習へどう戻すかが重要になります。夏までの勉強を得点へつなげる考え方は、浪人生の秋からの勉強法でも詳しく解説しています。
過去問は何年分やればいい?
使える過去問であれば、できるだけ多く取り組んで構わないと思います。
ただし、
「第一志望だから10年分」
のように、年数だけで決める必要はありません。
大学入試では、途中で出題傾向が大きく変わることがあります。
直近数年間と、それ以前で形式が大きく違うのであれば、古い問題を無理に続ける優先度は下がります。
その場合は、現在の志望校と似た傾向の他大学の問題を使う方法もあります。
「似ているか」を見るときは、
- 出題形式
- 問題の難易度
- 記述量
- 制限時間に対する問題量
- どのような思考を要求されるか
などを比べます。
自分だけでは判断しにくい場合は、学校や塾の先生に相談してもいいでしょう。
重要なのは何年分解いたかではなく、
今年の入試へ向けて必要な力を鍛えられる問題かどうかです。
最新年度の過去問を直前まで取っておく必要はない
「最新年度の問題は、入試直前の実力確認用に取っておく」
という話を聞くことがあります。
私は基本的にはおすすめしていません。
直近年度の問題は、現在の出題傾向に最も近い可能性が高い重要な材料だからです。
もし前年から問題形式が大きく変わっていたのに、それを知らないまま数か月勉強を続けたらどうでしょう。
入試直前で初めて知っても、そこから大きく修正するのは簡単ではありません。
もちろん、入手できる過去問が非常に少なく、最後の実戦演習用として未見問題を残したいという考え方もあります。
それでも、最新年度の傾向を知らないことによるリスクとのどちらが大きいかは考えた方がいいでしょう。
私自身は、最新年度を最後まで取っておくより、早めに確認してその後の勉強へ生かす方を重視しています。
同じ過去問を何度も解く意味はある?
出題傾向が長く安定している大学であれば、同じ過去問を繰り返す意味はあると思います。
何年分も取り組んでいると、
- よく求められる考え方
- 問題の組み立て方
- 記述で求められる水準
- その大学で見られやすい問い方
などが少しずつ見えてきます。
全く同じ問題が再び出るわけではありません。
それでも、
「この大学では、こういう考え方を要求されることが多い」
という感覚を身につけることには意味があります。
もちろん、年度や出題者によって違いはあります。
反対に、ここ数年で傾向が大きく変わっているのであれば、古い形式の問題を何度も完璧にする優先度は高くありません。
また、2回目以降は点数そのものを評価しすぎないようにしてください。
一度答えを見た問題なら、点数が上がるのはある意味当然です。
見るべきなのは、
考え方を自力で再現できるか、答案を以前より正確に作れるか。
答えを覚えているだけなのに、「実力が上がった」と考えないことが大切です。
復習・分析が追いつかないほど解く必要はない
過去問は、たくさん解けばいいわけでもありません。
次々に解いて、
- 復習が終わらない
- 原因分析が浅くなる
- 普段の自習が止まる
- 前回見つけた課題を改善する時間がない
のであれば、頻度を下げた方がいいでしょう。
私が見ている感覚では、本番形式のまとまった過去問演習を週1回程度なら、比較的その後の分析や改善まで回しやすいケースが多いです。
ただし、これは固定のルールではありません。
1科目だけ解くのか、複数科目まとめて解くのかでも負荷は大きく違います。
基準にしたいのは、
次の過去問を解くまでに、前回見つかった課題へ手を入れられているか
です。
1回だけ目標点を超えても安心しすぎない
何年分か解いていると、一度だけ非常に良い点数が出ることもあります。
たとえば5年度分解いて、1年度だけ目標点を超えた。
それだけで、
「もう合格できそうだ」
と考えるのは少し早いでしょう。
見るべきなのは、
なぜその年度は取れたのか。
なぜ他の年度では取れなかったのか。
です。
問題との相性が良かっただけなのか。
得意分野が多く出たのか。
それとも、実力として安定して得点できるようになっているのか。
一回の結果ではなく、再現できる状態になっているかを見ます。
志望校は「あと何点を残り期間で埋められるか」で考える
志望校を続けるか変えるかを考えるとき、私は模試の判定よりも実際の過去問を重く見ます。
ただし、
「今○割だから無理」
と単純には判断しません。
まず、
どの科目で何点取り、合計何点で合格するのか
という得点プランを考えます。
そして現在の過去問得点との差を確認する。
次に、
その差を埋めるには、どんな勉強がどれくらい必要なのか。
最後に、
残された期間で、それを実現できるのか。
を考えます。
過去問にも年度による難易度差や相性があるため、できれば複数年分を見ながら判断したいところです。
もちろん、最終的に志望校をどうするかを決めるのは本人です。
強い意志によって、指導する側の想像以上に伸びる受験生もいます。
ただし、意志があると言うだけで学力が伸びるわけではありません。
その意志が実際の勉強量や行動にどこまで表れているかまで含めて考えます。
過去問の点数だけでなく、現在の学力・残り期間・今後の伸び方まで含めて志望校を考えたい場合は、浪人生が志望校を上げるときの判断基準も参考にしてみてください。
12月に初めて第一志望の過去問を解くのはかなり遅い
第一志望として個別の対策が必要な大学なのに、12月になって初めて過去問を解き、
「思っていた問題と全然違った」
となるのは、かなり厳しい状況です。
もともとの基礎力が高く、短期間で修正する力もあるなら対応できる可能性はあります。
ただ、その段階で初めて問題との相性の悪さや大きな課題に気づいても、残された時間はわずかです。
だからこそ、
過去問は仕上げとして最後に確認するものではなく、まだ勉強を修正できる時期に触れておくことが重要です。
まとめ|過去問は合格へ近づくためのヒントを得るもの
過去問で目標点を超えればうれしいでしょうし、大きく届かなければ不安になると思います。
でも、過去問を解く目的は、安心することでも落ち込むことでもありません。
大切なのは、
- 現在地とゴールとの差を知る
- なぜその差が生まれているのかを考える
- 普段の勉強へ戻して改善する
- その成果をもう一度確かめる
ことです。
6〜7月なら、志望校がどんな力を求めているのかを見る。
秋以降なら、目標点まで何が足りないのかを見る。
そして、その結果を次の日からの勉強へ戻していく。
過去問を解く目的は、一歩でも合格へ近づくためのヒントを得ることです。
差を見つけ、原因を探り、日々の勉強に落とし込み、また成果を確かめにいく。
一回の点数に一喜一憂せず、淡々と、冷静に自分を見る。
そのために過去問を使ってほしいと思います。
次に読む記事
過去問を始める時期を、年間計画の中で考えたい人へ
過去問だけを切り離して考えるのではなく、春から入試までの流れの中で、基礎固め・実戦演習・過去問をどう配置するか整理したい場合はこちらへ。
→ 浪人生の1年間の勉強計画|春から入試までの進め方と見直し方
過去問で見つかった課題を、秋の勉強へつなげたい人へ
夏までに積み上げた力を得点へ変えるために、過去問で見つかった弱点をどう普段の学習へ戻すか考えたい場合はこちらへ。
→ 浪人生の秋からの勉強法|夏までに伸びなかったとき何を見直す?
過去問の点数を見て、志望校を変えるか迷っている人へ
一度の得点だけで判断せず、現在の学力・残り期間・必要な勉強量から志望校を考えたい場合はこちらへ。