浪人することになって塾・予備校を探していると、
「大手予備校に通った方が安心?」
「個別指導の方が自分には合う?」
「結局、浪人生にはどっちがいいの?」
と迷うことがあります。
ただ、「大手予備校」と「個別指導」は、厳密には同じ軸の言葉ではありません。
大手予備校でも個別指導を行っているところはありますし、小規模な塾でも集団授業を行っている場合があります。
そこでこの記事では便宜上、
大手予備校=浪人生向けの集団授業と年間カリキュラムを中心とした一般的な利用
個別指導=一人ひとりの状況に合わせて授業内容や進度を調整する指導
として比較していきます。
両者の大きな違いは、私は「決められたペース」と「柔軟性」のどちらを重視するかにあると思っています。
大手予備校では、受験までを見据えたカリキュラムに沿って学習を進めやすい。
個別指導では、自分の理解度や課題に合わせて進め方を変えやすい。
どちらが優れているという話ではありません。
今の自分には、決められたペースで進む環境と、自分に合わせて調整してもらう環境のどちらが必要なのか。
そこから考えてみてください。
大手予備校と個別指導だけでなく、学習管理型やオンラインも含めて指導形式から整理したい場合は、浪人生の予備校・塾はどのタイプが合う?でそれぞれの特徴を比較しています。
- 大手予備校の強みは「ペースを作りやすいこと」
- 大手予備校が向いているのは「決められたペースを自分の勉強につなげられる人」
- 大手予備校では「一度遅れたあと」に注意する
- 個別指導の強みは「自分に合わせて戻れること」
- 「学力が低いなら個別、高いなら大手」とは限らない
- 個別指導の最大の弱点は「担当者への依存度が高いこと」
- 授業の「分かりやすさ」だけでは決めない
- 自習時間まで含めて比較する
- 質問環境は「大手か個別か」では決まらない
- 学習管理の手厚さも「大手か個別か」だけでは決まらない
- 大手予備校の「情報量」は大きな強み
- 雰囲気は「大手か個別か」より、その校舎を見る
- 費用は「どちらが安いか」ではなく、必要なサポートとのバランスで考える
- 「集団授業+個別指導」の併用もあり
- 大手から個別、個別から大手へ変えるのもあり
- まとめ|完璧な塾を探すより、今の自分に必要な環境を選ぶ
- 次に読む記事
大手予備校の強みは「ペースを作りやすいこと」
大手予備校の集団授業では、多くの場合、年間のカリキュラムが決められています。
春に何を学び、夏までにどこまで進み、秋からどのような実戦演習へ入るのか。
受験までを逆算した流れに沿って授業が進んでいきます。
これは大きなメリットです。
自分で一から年間計画を作らなくても、その流れについていければ、受験に必要な学習を一定の速度で進めやすいからです。
一方で、一人の理解度に合わせて授業全体を止めることはできません。
分からない単元が残っていても、次の授業はやってきます。
つまり大手予備校の集団授業は、
柔軟性は低いものの、学習ペースを作りやすい。
という特徴があります。
ただし、授業を受けているだけで自動的にペースが作られるわけではありません。
そのカリキュラムを実際の学力向上につなげるには、予習・復習や自習まで含めて取り組む必要があります。
大手予備校が向いているのは「決められたペースを自分の勉強につなげられる人」
大手予備校のメリットを生かしやすいのは、用意された授業やカリキュラムを自分の勉強につなげられる人です。
たとえば、
- 授業の予習・復習を進められる
- 分からない部分をそのままにしない
- 必要なら自分から質問に行ける
- 自分の弱点をある程度把握できる
- 授業以外の時間も勉強に使える
- 遅れが出たときに修正しようとできる
といった人です。
集団授業は全員に向けて進みます。
そのため、
授業ですべてを解決してもらうのではなく、足りない部分を自分で補う力
は必要になります。
もちろん、ここまで自分でできるのであれば、独学という選択肢もあります。
それでも、大手予備校には、
- 年間の学習ペースを作りやすい
- 入試情報が集まりやすい
- 志望校対策を体系的に受けやすい
- 周囲に受験生がいる
といった、独学だけでは得にくい環境があります。
自分でできる部分は自分で進めながら、予備校の仕組みや情報を利用する。
そういう使い方ができる人にとって、大手予備校はかなり使いやすい環境だと思います。
大手予備校では「一度遅れたあと」に注意する
反対に、大手予備校で苦しくなりやすいのは、
- 授業を受けるだけで満足してしまう
- 予習・復習が回らない
- 分からないことをそのままにする
- 質問へ行けない
- 自習計画を立てられない
- 授業についていけなくても相談できない
といった場合です。
特に注意したいのは、一度遅れ始めたときです。
授業についていけない。
復習に時間がかかる。
次の予習が終わらない。
そのまま次の授業を受けて、さらに分からなくなる。
こうした悪循環に入ると、自力で立て直すのが難しくなることがあります。
もちろん、大手予備校でもチューターや面談などのフォローが用意されているところはあります。
ただ、環境によっては自分から助けを求めないと問題が表に出にくいこともあります。
特に、分かっていないのに「できているように見せてしまう人」は注意が必要です。
また、友人と一緒に通うことがモチベーションになる場合もあります。
一方で、
「友達が行くから」という理由だけで決め、自分に必要なサポートがあるかを確認しない
のはおすすめしません。
誰と通うか以上に、その環境を自分の受験勉強に使えるかを見る必要があります。
個別指導の強みは「自分に合わせて戻れること」
個別指導の大きなメリットは、柔軟性です。
理解に時間がかかれば、そこで止まる。
必要なら前の範囲まで戻る。
得意な範囲は早めに進める。
集団授業に比べて、一人ひとりの状況に合わせやすいのが特徴です。
特に個別指導を検討する価値が高いのは、基礎から大きくやり直す必要がある人です。
集団授業では、
「今の授業を理解するために必要な内容そのものが抜けている」
状態になると、かなり苦しくなります。
ほかにも、
- 特定の科目だけ極端に苦手
- 集団授業の進度に合わせにくい
- 分からない箇所をその場で確認したい
- どこからやり直せばいいか分からない
- 自分一人では進め方を調整しにくい
といった場合は、個別指導の柔軟性を生かしやすいでしょう。
ただし、基礎が弱ければ必ず個別指導が必要というわけではありません。
基礎クラスや映像授業、参考書を使った学習など、ほかの方法で戻ることもできます。
個別指導は、その中でも自分だけでは戻る場所や進め方を判断しにくい場合に使いやすい方法の一つだと考えてください。
「学力が低いなら個別、高いなら大手」とは限らない
現在の学力は、一つの判断材料になります。
基礎の抜けがかなり多ければ、個別指導の方が合わせやすいケースはあります。
ただ、
現在の偏差値だけで大手か個別かを決めるのは少し乱暴です。
今の成績が低くても、
- これまで単純に勉強量が少なかった
- 自分で計画を立てられる
- 一度理解すれば自力で復習できる
- 分からないところを発見して修正できる
という人なら、集団授業でも十分に伸びる可能性があります。
反対に、現在の成績が高くても、覚えることで多くの問題を処理してきたため、初見問題への対応や自分で考えることに課題がある場合もあります。
そういう人には、考え方や答案の作り方を細かく見てもらう機会が必要になることがあります。
これは個別指導に限りません。
大手予備校の添削指導や記述系の講座で対応できる場合もあります。
見るべきなのは現在の点数だけではありません。
その点数を、どうやって取ってきたのか。
ここまで見て考えることが大切です。
難関大学志望でも「大手か個別か」は一律に決まらない
難関大学を目指すから大手予備校、という決め方も一律にはできません。
大手予備校には、
- 志望校別講座
- 多くの合格者・受験者データ
- 入試傾向に合わせた教材
などを利用しやすい強みがあります。
一方で、記述答案や英作文、小論文など、自分の答案を細かく見てもらうことが課題になっているなら、個別に指導を受ける価値が高い場合もあります。
大手予備校を軸にして、必要な部分だけ個別指導を使う方法もあります。
志望校の難易度だけで決めるのではなく、合格までに自分が何を補う必要があるのかで考えた方がいいでしょう。
個別指導の最大の弱点は「担当者への依存度が高いこと」
個別指導は柔軟性が高い一方で、その良さをどこまで生かせるかは担当者に左右されやすい面があります。
個別指導と一口に言っても、
- 分からない問題への質問対応が中心
- 授業形式で説明する
- 教材や進度まで決める
- 学習計画まで考える
など、内容はさまざまです。
さらに、同じ塾でも担当者によって指導方法や得意分野が違うことがあります。
もちろん、大手予備校の集団授業でも、講師や校舎、担当者による違いはあります。
ただ、個別指導では担当者一人が、
- 何を教えるか
- どの教材を使うか
- どこまで進むか
といった判断に直接関わる場合が多いため、その人の影響がより大きく出やすいと考えています。
うまく合えば、その生徒に必要な部分だけを細かく見てもらえます。
一方で、担当者との相性が悪かったり、受験全体を見通した指導が難しかったりすると、柔軟性の高さがそのままメリットになるとは限りません。
そのため、
- 体験時と入塾後で担当が変わるか
- 担当変更は可能か
- 教材や進度は誰が決めるのか
- 塾全体で指導内容を共有しているか
などは確認しておきたいところです。
授業の「分かりやすさ」だけでは決めない
大手予備校には、授業経験が豊富で説明のうまい講師もいます。
分かりやすい授業にはもちろん価値があります。
現在は、映像授業などでも質の高い授業を受けやすくなりました。
もちろん対面授業には、
- その場の緊張感
- 講師との直接のやり取り
- 周囲と一緒に授業を受ける環境
など、映像だけでは得にくい良さもあります。
それでも、
「分かりやすい授業が受けられるから」という理由だけで大手予備校を選ぶ必要はありません。
大手予備校の価値は、授業そのものだけではなく、
年間カリキュラムの中で、一定のペースで学習を進める仕組み
にもあります。
決まった時間に授業がある。
そのために予習する。
授業を受ける。
復習する。
また次の授業が来る。
この繰り返しが、自分だけでは作りにくい受験勉強のペースになります。
個別指導には、この流れを自分に合わせて変えられる強みがあります。
だからこそ、
自分には「決められたペース」と「柔軟な調整」のどちらがより必要なのか
を考えることが大切です。
自習時間まで含めて比較する
浪人生にとって重要なのは、授業時間だけではありません。
授業を受けたあとに、
- 復習する
- 問題演習をする
- 暗記する
- 弱点を補う
ための時間が必要です。
大手予備校の集団授業でも、コースによって授業数は大きく違います。
授業と予習・復習を無理なく回せているなら、カリキュラムのメリットを受けやすいでしょう。
しかし、
- 予習に想定以上の時間がかかる
- 復習が終わらない
- 授業数が多く、弱点補強の時間が取れない
という状態になると、授業についていくこと自体が目的になってしまいます。
個別指導も、コマ数を増やせば当然、自習時間は減ります。
つまり、
大手か個別かより、授業と自習を合わせた一週間を実際に回せるか
を見る方が大切です。
自習時間が増えればいいわけでもありません。
その時間に何をするのか。
それを自分で決められるのか。
そこまで含めて比較してください。
質問環境は「大手か個別か」では決まらない
一見すると、
「個別指導ならいつでも質問できそう」
と思うかもしれません。
しかし、個別指導でも質問できるのは授業時間だけという場合があります。
逆に、大手予備校でも質問対応の時間やスタッフが充実している場合があります。
つまり、
質問環境の使いやすさは、大手か個別かという分類だけでは判断できません。
実際にどんな方法で質問するのかを、塾ごとに確認する必要があります。
質問環境だけでなく、講師・学習管理・年間費用など、入塾前に何を確認すればいいかは、予備校・塾の説明会で何を聞く?質問例と入塾前のチェックポイントで具体的に整理しています。
学習管理の手厚さも「大手か個別か」だけでは決まらない
学習計画や進捗管理についても同じです。
大手予備校でも手厚く管理するところはありますし、個別指導でも各授業以外の学習は本人に任せるところがあります。
個別だから自分専用の年間計画まで作ってもらえる、とは限りません。
この記事では大手と個別の比較に絞りますが、学習管理を重視する場合は、実際にどこまでサポートされるのかを別に確認する必要があります。
計画設計や毎日の実行管理まで重視する場合は、浪人生向け学習管理型塾の比較で、実際にどの工程をどこまで支援してもらえるのか確認してみてください。
大手予備校の「情報量」は大きな強み
大手予備校のメリットとして、情報量はかなり大きいと思います。
多くの受験生が在籍することで、
- 模試や成績のデータ
- 志望校別の合否データ
- 過去の受験生の事例
- 面接内容
- 小論文の出題情報
- 入試方式ごとの情報
などを蓄積しやすいからです。
もちろん、入試方式や過去の出題傾向など、公開されている情報については、大学公式サイトやインターネットでも以前より集めやすくなっています。
一方で、
- 最近の面接で実際に何を聞かれたか
- 直近の小論文でどのようなテーマが出たか
- 同じ大学を受験した生徒がどのような結果だったか
といった、実際の受験生から集まる情報は、多くの受験生が在籍する環境ほど蓄積しやすいでしょう。
多数の受験生から継続的に情報を集められること
は、今でも大手予備校の大きな強みの一つです。
雰囲気は「大手か個別か」より、その校舎を見る
浪人生活では、周囲の環境も無視できません。
同じ志望校を目指す人がいることを刺激にできる人もいれば、人が多いことで周囲に埋もれてしまう人もいます。
少人数の方が落ち着く人もいれば、周りの受験生が見えないとモチベーションを保ちにくい人もいます。
ただ、これは大手か個別かだけでは決まりません。
大切なのは、
その校舎にどんな空気があるのか。
です。
「あの人も頑張っているから、自分もやろう」
と思えるような関係が生まれる環境は、受験生活の支えになることがあります。
友人と話すこと自体が悪いのではありません。
お互いの勉強を邪魔する関係ではなく、それぞれが頑張っていることが刺激になる。
そうした雰囲気があるかどうかは、塾の規模や指導形式だけでは判断できません。
可能なら、実際に校舎を見たり体験したりして確認してみてください。
費用は「どちらが安いか」ではなく、必要なサポートとのバランスで考える
一般に、同じ時間だけ指導を受けるなら、一対一や少人数の個別指導は集団授業より単価が高くなりやすいでしょう。
ただ、
「大手予備校だから安い」
「個別指導だから高い」
と年間費用まで単純に決めることはできません。
大手予備校でも、講習や追加講座を多く受ければ費用は増えます。
個別指導でも、一科目だけ利用するのであれば総額を抑えられる場合があります。
見るべきなのは、
自分に必要なサポートを受けるために、年間でいくら必要なのか。
です。
授業料だけでなく、講習や追加指導、教材費なども含めて比較する方が実態に近くなります。
浪人生の予備校・塾にかかる年間費用や、季節講習などの追加料金まで含めた比較方法は、浪人生の予備校・塾費用|年間総額と追加料金の注意点で詳しく整理しています。
「集団授業+個別指導」の併用もあり
必ずどちらか一方に決める必要はありません。
たとえば、
- 普段は大手予備校の集団授業
- 苦手な数学だけ個別指導
- 集団授業を軸に、必要な部分だけ別のサポートを使う
といった方法もあります。
その組み合わせによって不足している部分を補えるのであれば、併用自体に問題はありません。
ただし、複数のサービスを利用するときは、
受験勉強全体の軸をどこに置くのか
を決めておいた方がいいでしょう。
それぞれから別の教材や勉強法を勧められ、本人が混乱することもあるからです。
また、授業や面談を増やしすぎて自習時間がなくならないようにも注意が必要です。
大手から個別、個別から大手へ変えるのもあり
途中で指導形式を変えることもできます。
たとえば、
- 工夫しても集団授業についていけない
- 予習・復習だけで時間がなくなる
- 基礎まで大きく戻る必要がある
という状態なら、個別指導へ切り替えることで立て直しやすくなる場合があります。
逆に、個別指導によって基礎が固まり、
- 集団授業についていける
- 予習・復習を自分で回せる
- 自分の課題をある程度管理できる
ようになったのであれば、費用も考えて集団授業へ移る選択肢があります。
ただし、今の環境で順調に伸びているなら、変える必要はありません。
「変えられる状態になったか」ではなく、「変えることで今より何が良くなるのか」
まで考えて判断してください。
今の塾が合わないと感じていて、そもそも辞める・変えるべきか迷っている場合は、予備校・塾が合わないと感じたら?辞める・変える前の判断基準も参考にしてください。
まとめ|完璧な塾を探すより、今の自分に必要な環境を選ぶ
大手予備校の集団授業は、
一定のカリキュラム・学習ペース・情報量を得やすい一方で、自分で授業についていき、不足を補う力が必要です。
個別指導は、
自分に合わせて柔軟に進めやすい一方で、担当者への依存度が高くなりやすく、費用も上がりやすい。
どちらにも強みと弱みがあります。
だから、
「大手と個別、どっちがいい?」
だけでは決められません。
考えたいのは、
- 今の自分にはどんなサポートが必要なのか
- そのためにどこまで費用をかけられるのか
- その環境を自分が使いこなせそうか
ということです。
そして、すべてが完璧に自分へ合う塾は、なかなか見つかりません。
「この先生は合うけれど、この部分は少し物足りない」
ということもあるでしょう。
ただし、自分の課題を解決するために最低限必要なサポートまで欠けているのであれば、そこは妥協する必要はありません。
必要な条件をできるだけ満たす環境を選び、多少足りない部分は自分から補い、その環境を使いこなしていく。
それでも本当に合わないのであれば、環境を変えることも選択肢です。
塾にすべてを合わせてもらうのでも、合わない環境に無理やり自分を合わせるのでもない。
今の自分に必要な環境を選び、その環境の良さを自分から使っていく。
そのくらいの考え方が、浪人生活ではちょうどいいと思います。
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