浪人生向けの塾を探していると、オンライン塾も選択肢に入ってきます。
通塾する必要がなく、住んでいる地域に関係なく指導を受けられる。
サービスによっては、校舎型の塾より費用を抑えられることもあります。
一方で、
「浪人生が一年間オンラインだけで大丈夫なのか」
「家で勉強できなくなりそう」
「対面より指導しにくいのでは?」
と不安に感じる人もいるでしょう。
最初に結論を言えば、条件が合うなら、オンライン塾は積極的に検討していい選択肢です。
ただ、費用や通塾時間などの条件をすべて無視できるのであれば、私は基本的には対面の方が指導しやすいと考えています。
対面では、表情や反応、普段の学習の様子など、本人が言葉にしていない情報まで自然に拾いやすいからです。
オンラインでは、こうした情報が自然には入りにくくなります。
ただし、それを補う方法がないわけではありません。
学習ログや提出物、チャットでのやり取りなどを使いながら、対面では見えない情報を細かく記録しているサービスもあります。
大切なのは、
「オンライン塾は良いか悪いか」ではなく、自分がオンラインという環境を使える条件を持っているか。
そして、オンライン特有の弱点をサービス側がどのように補っているかです。
この記事では、オンライン塾が向いている浪人生・向かない浪人生の違いと、選ぶときに確認したいポイントを考えていきます。
オンライン塾の大きなメリットは「通塾時間」と「場所の制約」を減らせること
オンライン塾にはいくつかメリットがありますが、私は移動時間を減らせることがかなり大きいと思っています。
たとえば塾まで片道30分かかるなら、往復で1時間です。
それが一年間積み重なれば、かなりの時間になります。
もちろん、電車や車の中で英単語を覚えるなど、移動時間を活用することはできます。
ただ、机に座って問題演習をする時間とまったく同じようには使えません。
浪人生は、一日の多くを勉強に使います。
その中で毎日の移動を減らせることは、思っている以上に大きなメリットです。
もう一つ大きいのが、住んでいる場所によって選択肢を制限されにくいことです。
通える範囲に自分に合う塾がなかったとしても、オンラインなら地域に関係なく指導を受けられます。
特に地方や郊外など、そもそも通塾できる選択肢が少ない場合には大きな意味があります。
また、サービスによっては、校舎型の塾より費用を抑えられる場合もあります。
その結果、同じ予算でも、
授業だけでなく、学習管理・質問対応・添削など、
自分に必要なサポートまで含めて検討しやすくなる
こともあるでしょう。
オンラインの弱点は「指導者に入る情報が少なくなりやすいこと」
オンライン指導で最も気になるのは、指導者が本人について自然に得られる情報が少なくなりやすいことです。
対面なら、
いつもより表情が暗い。
問題を解く手が止まっている。
自習中に集中できていない。
最近、特定の科目を避けている。
といったことが、本人から申告されなくても見える場合があります。
学習計画上では、
「今日は数学を3時間勉強した」
ことになっていても、実際には途中で眠くなっていたり、集中できていなかったりすることもあります。
しかも本人自身が、
「今日はあまり集中できていなかった」
と認識していないケースもあります。
オンラインでは、こうした情報を自然に拾うのが難しくなります。
だからこそ重要になるのが、
本人が自分の状態を正直に伝えられること
です。
「予定どおりできませんでした」
「ここが分かりません」
「最近集中できていません」
「この教材がやりづらいです」
ということを隠さず伝えられる人ほど、オンラインでも指導の精度を上げやすくなります。
困っていても反射的に「大丈夫です」と答えてしまうことは対面でもあります。
ただ、普段の様子を直接見る機会が少ないオンラインでは、それ以外の情報から問題に気づける仕組みがより重要になります。
オンライン塾に向いている浪人生
オンライン塾との相性は、現在の学力だけでは決まりません。
むしろ見たいのは、次のような部分です。
- 自分の状況を正直に伝えられる
- 分からないときに「分からない」と言える
- 自宅や近所に長時間勉強できる場所がある
- 指示されたことをある程度自分で実行できる
- 一人で過ごす時間が長くても大きく崩れにくい
- 通える範囲に自分に合う塾がない
- 通塾時間をできるだけ減らしたい
特に重要なのは、自己開示と自習環境だと思います。
オンラインでは普段の様子が見えにくい分、自分から情報を出す必要があります。
そして、授業や面談以外の時間は自分で勉強することになります。
この2つがそろっているなら、学力がまだ十分でなくても、オンライン塾を候補から外す必要はありません。
ただし、基礎の抜けが非常に大きく、説明を受けながらその場で理解度を細かく確認してもらう必要性が高い場合には、対面指導とも比較して判断した方がいいでしょう。
オンライン塾に向かない浪人生
反対に、次のような人は慎重に考えた方がいいでしょう。
- 家ではほとんど勉強できない
- 誰かが近くにいないと勉強を始めにくい
- 生活リズムが大きく崩れている
- 予定どおりできていなくても、そのことを言い出しにくい
- 困っていても質問しにくい
- 人と接することが勉強のモチベーションになっている
- 一人で過ごす時間が長いと不安になりやすい
これは能力や性格の良し悪しの話ではありません。
必要な環境が違うということです。
対面なら自然に手に入りやすい、
「毎日行く場所」
「周囲で勉強している人」
「自分の様子を見ている人」
などを、オンラインでは別の方法で用意しなければならない場合があります。
一年間その環境で本当に勉強を続けられるのかまで考えたうえで選びたいところです。
オンライン塾と宅浪は同じではない
オンライン塾と宅浪は、勉強する場所だけを見ると似ています。
ただ、学習の進め方は異なります。
この記事では宅浪を、
外部の指導者から継続的な指導や判断を受けず、自分を中心に学習を進める浪人生活
と考えます。
映像授業や学習アプリを利用していても、教材や計画を最終的に自分で判断して進めるなら、この形に近いでしょう。
一方、オンライン塾では、
- 授業
- 学習計画
- 進捗管理
- 質問対応
- 添削
- 面談
などをオンライン上の指導者から受けます。
つまり、
自宅で勉強していることと、一人で受験勉強を進めていることは同じではありません。
オンライン塾は、宅浪では不足しやすい外部からの指導や学習管理を補う方法の一つです。
オンライン塾に限らず、そもそも宅浪で進むか塾・予備校を利用するか迷っている場合は、宅浪と塾・予備校はどっち?浪人生が自分に合う環境を選ぶための判断基準で詳しく整理しています。
オンラインでも授業・学習管理・質問対応はできる
オンラインだから、授業や学習管理ができないわけではありません。
計画を作る。
教材の進みを確認する。
模試結果を共有する。
答案を添削する。
質問に答える。
定期的に面談する。
こうしたことはオンラインでもできます。
重要なのは、オンラインかどうかより、どんな仕組みで行われているかです。
たとえば現論会はオンラインでも利用できますが、毎日細かく進捗を確認するタイプというより、全科目の学習計画を作り、月4回のコーチングで実行結果を振り返って修正していく設計です。
オンライン塾でも管理の頻度や方法は同じではありません。
現論会の具体的な仕組みや料金、向いている浪人生については「現論会は浪人生に向いている?料金・コーチング・向く人を検証」で整理しています。
授業では「反応を拾う仕組み」を見る
1対1、少人数、リアルタイム集団授業、映像授業では、同じオンラインでも性質がまったく違います。
オンライン家庭教師も、基本的にはこうした1対1指導の一つとして考えられます。
画面共有やチャット、手元カメラなどを使えば、オンラインでも理解度や解答過程を確認できます。
そのうえで、
分からなければ「分からない」と伝えられるか。
先生側から理解度を確認する機会があるか。
といった点を見たいところです。
学習管理では「見えない時間をどう確認するか」を見る
計画表には、
「英語長文を2時間」
と書かれていても、その2時間を実際にどう使ったかまでは分かりません。
だからこそ、学習管理を見るときは、
- 学習ログ
- 教材の進捗
- 提出物
- 小テスト
- 日々の報告
などを使って、面談していない時間の学習状況をどう確認しているかまで見たいところです。
学習管理そのものが自分に必要なのか、また良い学習管理では何を見てもらうべきなのかは、浪人生に学習管理は必要?向いている人と塾選びのポイントで詳しく整理しています。
実際に「見えない時間」をどう管理するか確認したい場合は、東大毎日塾は浪人生に向いている?料金・学習管理・向く人を検証も参考にしてください。
Studyplusを使った学習状況の確認や日々の声かけ、質問対応、科目指導まで分けて整理しています。
質問は「制度があるか」より「自分が使えるか」を見る
答案の写真を送る。
画面共有する。
チャットで聞く。
ビデオ通話で説明してもらう。
質問するだけなら、オンラインでもかなり対応できます。
また、手元カメラや画面共有を使えるサービスなら、問題を解いている途中の様子まで見てもらえる場合があります。
一方、そうした仕組みがなければ、実際の解き方や時間の使い方を確認するのは対面の方がやりやすいこともあります。
そして何より、
質問制度があっても、自分が使わなければ意味がありません。
チャットの方が聞きやすい人もいれば、文章を作るのが面倒で質問しなくなる人もいます。
対面でも、先生に声をかけられなければ同じです。
自分が実際に質問できる仕組みかどうかを確認してください。
浪人生は「自習する場所」を先に決めておきたい
オンライン塾を利用するなら、自習環境はかなり重要です。
授業や面談の時間より、自分で勉強する時間の方がはるかに長くなります。
自宅で集中できるなら、オンラインのメリットを生かしやすいでしょう。
通塾時間をほとんど使わずに済むからです。
ただ、自宅で勉強できないからオンラインは無理、というわけでもありません。
自宅の近くに、
- 図書館
- 公共施設の学習スペース
- 貸し自習室
などがあるなら、そこを使う方法もあります。
特に、
「通える範囲に自分に合う塾がないからオンラインを選ぶ」
のであれば、自習場所まで自宅に限定する必要はありません。
大切なのは、
日々の勉強を継続できる場所が確保されていること
です。
オンライン塾を決めてから考えるのではなく、入塾前に自習場所までセットで考えておきたいところです。
浪人生では「孤独との相性」も考えておく
浪人生活では、高校時代より人との接点が減りやすくなります。
オンライン中心なら、その傾向がさらに強くなることがあります。
朝から一人で勉強する。
週に一度オンラインで面談する。
そして、また一人で勉強する。
そうした生活を長期間続ける可能性があります。
ここで注意したいのは、
「一人でいる方が楽なら問題ない」とも限らないこと
です。
受験指導の現場では、人と一緒にいることが得意ではない生徒でも、浪人してそれまで所属していた学校がなくなったことで、不安を感じる様子を見ることがあります。
もちろん、これはすべての人に当てはまるわけではありません。
一人で過ごす方が快適な人もいます。
だからこそ、自分にとってどのくらい人との接点が必要なのかを考えておきたいところです。
オンライン塾を検討するときは、
- 定期的に人と話す機会があるか
- 困ったときに相談できるか
- 必要なら他の受験生と接点を持てるか
なども確認しておいていいでしょう。
コミュニティが充実しているほど良い、と単純に考える必要はありません。
オンライン塾は「安いから」で決めない
オンライン塾は、校舎型の塾より費用を抑えられるサービスもあります。
これは大きな魅力です。
ただし、
オンライン=必ず安い
とは限りません。
1対1指導。
毎週の学習管理。
日々の報告。
質問対応。
添削。
こうしたサポートが増えれば、オンラインでも料金は高くなります。
比較するときは、月額だけではなく、
- 授業回数
- 面談頻度
- 質問対応
- 学習管理
- 添削
- 担当者
- 追加料金
- 年間総額
まで確認してください。
他のオンライン塾より高い場合には、
何に対して料金が上がっているのか
を見る。
そのサービスが自分に必要で、価格にも納得できるのであれば、高いこと自体が問題ではありません。
授業料だけでなく、季節講習や教材費、追加料金まで含めて年間総額を比較したい場合は、浪人生の予備校・塾費用|年間総額と追加料金の注意点も参考にしてください。
「全国から先生を選べる」だけでは判断しない
オンラインなら、住んでいる地域に関係なく指導を受けられます。
通える範囲には志望校対策に詳しい先生がいなくても、オンラインなら候補を広げられます。
これは大きなメリットです。
ただし、
候補となる先生が多いことと、自分に合う先生に担当してもらえることは別です。
サービスによっては、担当者を自分で自由に選べないこともあります。
そのため確認したいのは、
- どうやって担当者を決めるのか
- 合わなかった場合に変更できるのか
- 担当変更に条件や制限があるのか
という部分です。
「全国にたくさんの先生がいます」という在籍数より、
自分に合う担当者へたどり着ける仕組みがあるか
の方が重要です。
オンライン塾の無料相談・体験で確認したいこと
オンライン塾を検討するなら、料金表だけではなく、無料相談や体験で実際の仕組みを確認したいところです。
たとえば、
- 年間計画は誰が作るのか
- 担当者は固定なのか
- 体験時の担当者が入会後も担当するのか
- 担当変更はできるのか
- 質問はいつ、どの方法でできるのか
- 質問への返信にはどのくらいかかるのか
- 日々の学習状況をどう把握するのか
- 計画どおり進んでいないとき、どう対応するのか
- 面談以外のフォローはあるのか
- 記述答案や英作文などの添削は受けられるのか
- 年間でかかる費用はいくらか
などです。
そして、オンラインではもう一つ聞いてみたいことがあります。
「学習ログや提出物以外に、本人から申告がなくても学習状況の変化に気づける仕組みはありますか?」
単に提出された記録を見るだけなのか。
日々の報告や小テスト、教材の進み方などから変化を追っているのか。
別の仕組みがあるのか。
ここを見ると、そのサービスがオンライン特有の弱点をどう補おうとしているのかが分かりやすくなります。
オンライン特有の確認項目だけでなく、講師・質問環境・学習管理・年間費用など、塾を決める前に確認したいこと全体は、予備校・塾の説明会で何を聞く?質問例と入塾前のチェックポイントで整理しています。
対面塾とオンラインを併用してもいい
オンラインを利用するからといって、すべてのサポートをオンラインに一本化する必要はありません。
たとえば、
大手予備校に通いながら、オンラインで英作文の添削を受ける。
地元で勉強場所を確保し、オンラインで学習管理を受ける。
普段は自分で勉強し、苦手科目だけオンライン個別指導を利用する。
といった使い方もできます。
とくにオンラインで学習管理を受けたい場合は、サービスによって、計画・日々の進捗管理・質問対応・科目指導・生活管理のどこまで対応しているかが異なります。
具体的な違いを比べたい人は、浪人生向け学習管理型塾を比較|毎日管理・計画・質問・科目指導で選ぶで整理しています。
オンラインの強みの一つは、
場所に関係なく、今の環境に足りない機能を補いやすいこと
です。
「対面かオンラインか」の二択だけで考えず、
今の自分には何が足りないのか
から組み合わせを考えてもいいでしょう。
まとめ|オンライン塾は「使える条件」がそろっているかで考える
条件が合う人にとって、オンライン塾は積極的に検討していい選択肢です。
通塾時間を減らせる。
近くに良い塾がなくても指導を受けられる。
料金を抑えながら必要なサービスを受けられる場合がある。
こうしたメリットはかなり大きいものです。
一方で、
自分の状態を正直に伝えられること。
分からなければ質問できること。
勉強を続けられる自習環境があること。
一人で過ごす時間が増えても大きく崩れにくいこと。
といった条件も重要になります。
オンラインで受けられるのは、授業や学習管理などの「指導」です。
サービスによっては、オンライン自習室や生活管理、受験生同士の交流などまで用意されていることもあります。
ただ、
勉強する場所、生活のリズム、人との接点まで、オンライン塾を選んだだけで自動的にすべて整うわけではありません。
オンラインで補ってもらえるもの。
自分で用意する必要があるもの。
その両方を確認したうえで、
自分はこの環境で一年間勉強を続けられるか
を考えてみてください。
その条件がそろっているなら、オンラインという理由だけで候補から外す必要はありません。
オンラインという環境が自分に合いそうだと分かったうえで、具体的なサービスを比べたい場合は、浪人生向けオンライン塾を比較|授業・学習管理・質問対応から選ぶで、科目指導・計画設計・実行管理・理解度確認・質問対応・生活管理に分けて整理しています。
次に読む記事
オンライン以外の塾タイプも含めて比較したい人へ
集団授業・個別指導・学習管理型・オンラインなど、それぞれの特徴を並べながら、自分に必要な環境を整理したい場合はこちらへ。
→ 浪人生の予備校・塾はどのタイプが合う?
具体的なオンライン塾を比較したい人へ
オンラインを利用する方向が見えてきたら、次は科目指導・学習管理・質問対応・自習環境など、自分に必要な支援から具体的なサービスを比べてみてください。
→ 浪人生向けオンライン塾を比較|授業・学習管理・質問対応から選ぶ
気になるオンライン塾の相談・体験へ進む人へ
オンライン特有の確認項目に加えて、講師、質問環境、学習管理、費用など、入塾前に聞いておきたいことを整理したい場合はこちらへ。
→ 予備校・塾の説明会で何を聞く?質問例と入塾前のチェックポイント