浪人生になると、年間を通して何度も模試を受ける機会があります。
模試を受けるたびに、
「A判定だった」
「E判定だった」
「偏差値が上がった」
「前回より点数が下がった」
と、結果が気になる人も多いと思います。
ただ、私は模試を見るとき、判定をそれほど重視していません。
模試で一番確認したいのは、
これまで取り組んできた勉強が、初めて見る問題へのアウトプットにつながっているか
です。
そして、うまくいっていなければ、その理由を振り返って次の勉強へ反映する。
模試は、そのための材料だと考えています。
E判定でも合格する人はいます。
A判定でも不合格になる人はいます。
模試の結果そのものが、入試の合否を決めるわけではありません。
この記事では、浪人生が模試の何を見るべきなのか、受けたあとにどう復習し、その後の勉強へどうつなげるのかを整理します。
模試の一番の目的は「今までの勉強が通用しているか」を確認すること
模試にはさまざまな役割があります。
現在地を確認する。
苦手単元を見つける。
いつもと違う環境で実力を出せるか確認する。
試験時間の使い方を練習する。
志望校までの距離を測る。
どれも意味はあります。
ただ、最も重視したいのは、
これまでの勉強が、実際の問題で使える形になっているかを確認すること
です。
参考書を何周した。
問題集を最後まで終わらせた。
単語帳を覚えた。
それだけでは、入試問題を解けるかどうかは分かりません。
初めて見る問題を決められた時間の中で解くことで、
「覚えたはずなのに出てこなかった」
「解法は知っていたのに使えなかった」
「普段なら解けるのに時間が足りなかった」
といったズレが見えてきます。
模試は、
勉強の成果を見るだけでなく、今までの勉強方法を点検するためのテスト
でもあります。
模試の判定は、そこまで気にしなくていい
模試が返ってくると、多くの人が最初にA〜Eの判定を見ると思います。
ただ、私は普段の指導では、判定をほとんど重視していません。
理由は単純で、
模試と実際の入試は、同じ問題ではないからです。
模試との相性が良くても、志望校の問題とは相性が悪いことがあります。
逆もあります。
もちろん、A判定を取れるのであれば、志望校に必要な学力を上回っている可能性は高いでしょう。
ただし、
A判定だから受かる。
E判定だから受からない。
とは言えません。
判定は現在地を見る材料の一つではあっても、合否そのものではありません。
模試は時期によって見るポイントが変わる
同じ模試でも、時期によって確認したいことは変わります。
春は「現在地」を確認する
春は、自分がどの位置から浪人生活を始めるのかを見る時期です。
ただし、基礎をやり直している途中なら、模試をたくさん受ける必要はありません。
現在地を知るための一つの材料として使うくらいでも十分です。
夏は「自習のやり方」を確認する
夏頃には、春から取り組んできた勉強が少しずつ形になってきます。
この時期は、
春から続けてきた自習のやり方が、初見問題でも機能しているか
を確認します。
既習範囲が思ったほど取れていなければ、勉強時間だけではなく、勉強方法そのものを見直す必要があるかもしれません。
秋は「点につなげる勉強」が機能しているかを見る
科目によって実戦演習に入るタイミングが違っていても問題ありません。
すでに実戦演習へ入っている科目では、
積み上げた力を、本番形式の中で点数へ変換できているか
を確認します。
知識はあるのに得点できないのであれば、時間配分や問題の見方など、実戦面の課題を探します。
夏までに積み上げた基礎を、秋以降どう得点へつなげていくかは、浪人生の秋からの勉強法で詳しく整理しています。
大学別模試は「ライバルの中での位置」を見る
大学名を冠した模試では、その大学を目指す受験生が集まります。
そのため、
- 志望者の中で自分がどこにいるのか
- どの科目が強みになっているか
- どの科目・分野が弱いのか
を確認しやすくなります。
一般的な模試よりも、
同じ大学を目指す受験生の中での現在地
を見る材料として使いやすい模試です。
共通テスト直前は「最後に何を直すか」を見る
共通テスト形式の模試やプレテストでは、
本番までに何を最終調整するか
を確認します。
時間配分。
解く順番。
弱い科目・分野。
ケアレスミス。
残り期間で修正できるものを具体的に絞っていきます。
点数や偏差値より「どこで取れて、どこで落としたか」を見る
模試の成績表で私がよく見るのは、
- どの大問・小問で得点できたか
- どこで失点したか
- 既習範囲は取れているか
- 自己採点と実際の点数がどの程度ずれているか
- 自分より上にどれくらいの受験生がいるか
といった部分です。
同じ50点でも、
基礎問題を大量に落として50点だったのか。
難しい問題まで取れた一方で、時間配分を失敗して50点だったのか。
未習範囲が多くて50点だったのか。
では、意味がまったく違います。
大切なのは、
「何点だったか」より「なぜその点数になったのか」
です。
自己採点と実際の得点が大きくずれている場合も確認します。
自分では合っていると思っていた記述がどの程度減点されたのか。
部分点をどのくらい見込んでいたのか。
こうしたズレを見ることで、自分の答案を客観的に評価する精度も上がります。
順位についても、合否を予測するためだけに見るわけではありません。
「今、自分より上にどのくらいの受験生がいるのか」
「合格圏へ近づくには、どのくらい差を縮める必要があるのか」
を具体的に考える材料として使います。
ただし、模試によって受験者数や受験者層は違います。
順位だけを絶対的な数字として見るのではなく、あくまでその模試の中での現在地として捉えます。
模試の復習は、この順番で進める
模試が終わったら、すぐ解答を見る前にやってほしいことがあります。
1. 時間制限を外して、もう一度解く
まずは解答を見ずに、時間無制限でもう一度問題を解いてみます。
試験中には解けなかった問題でも、時間を気にしなければ解けることがあります。
そうすれば、
「知識や理解が足りなかった」のか、
「時間が足りなかった」のか、
を切り分けられます。
ここを確認せずに答えを見ると、本当は解ける問題だったのか、そもそも理解していなかったのかが分からなくなります。
2. 間違えた問題を「既習」と「未習」に分ける
次に、
すでに勉強した範囲なのか、まだ勉強していない範囲なのか
を分けます。
未習範囲なら、できなかったことを必要以上に気にする必要はありません。
まだ勉強していないのであれば、解けなくても不思議ではないからです。
ただし、秋以降になっても未習範囲が広く残っている場合は別です。
その場合は模試の一問一問よりも、
残された期間で必要な範囲を終えられるのか
という学習計画そのものを見直す必要があります。
3. 既習範囲で失敗した理由を探る
すでに勉強したはずなのに解けなかったのであれば、
- 知識を忘れていた
- 問題を見ても使う知識が浮かばなかった
- 解法を思いつかなかった
- 理解が浅かった
- 時間配分を失敗した
- 焦りや緊張で普段通りに解けなかった
など、理由を分けて考えます。
さらに、
その失敗を、普段の自習の段階で防げなかったのか
まで考えます。
知識が出てこなかったなら、覚え方や、どのくらいの頻度で復習していたかに問題はなかったか。
解法を使えなかったなら、普段の演習でアウトプットが不足していなかったか。
時間配分を失敗したなら、普段から時間を意識して問題を解いていたか。
模試で起きた失敗を、自習までさかのぼって振り返ります。
模試だけでなく、普段の勉強そのものがうまくいっていない原因から整理したい場合は、浪人生の成績が上がらない原因と見直し方も参考にしてみてください。
4. 正解した問題も「確信を持って解けたか」を確認する
確認するのは、間違えた問題だけではありません。
たまたま選択肢が当たった。
二択まで絞って勘で選んだ。
考え方は間違っていたのに、偶然答えが合った。
こうした問題を「できた」と処理すると、自分の実力を見誤ります。
正解した問題についても、
確信を持って解けたのか
を確認してください。
ただし、正解した問題をすべて同じ深さで見直す必要はありません。
自信がなかった問題や、勘に頼った問題を優先して確認すれば十分です。
5. 次の勉強で何を変えるか決める
最後に、
今回見つかった問題を、その後の自習へ反映します。
復習頻度を変える。
時間を測って問題を解く。
アウトプット量を増やす。
特定の単元へ戻る。
模試を受けて終わりではなく、
次の勉強で何を変えるかまで決めて、模試の復習は一区切り
です。
すべての問題を同じ深さで振り返る必要はありません。
何度も繰り返している失敗や、既習範囲なのに取れなかった問題など、今後の得点に影響しそうなものから優先して見ていけばいいと思います。
計画を変えるかどうかも、理由を見て決める
模試の結果が悪いと、
「参考書を変えた方がいいのでは」
「勉強計画を全部作り直した方がいいのでは」
と考えることがあります。
でも、一度結果が悪かったからといって、計画を変える必要があるとは限りません。
原因が計画そのものにあるなら変える。
一方で、
- 計画どおり実行できていなかった
- 復習方法に問題があった
- 学習時間が不足していた
- 試験中の時間配分を失敗した
のであれば、修正する場所は別にあります。
理由を正確に振り返れば、変えるべきものと変えてはいけないものが見えてきます。
模試の結果だけを見てすべてを変えるのではなく、
「今回の結果は、何が原因で起きたのか」
から考えることが重要です。
模試の結果も含めて年間計画をどう見直していくかは、浪人生の1年間の勉強計画で詳しく整理しています。
どの模試を受ければいい?
基本的には、受験者数が多く、幅広い学力層が受ける模試を一つの軸にすると、自分の現在地を確認しやすくなります。
そのうえで、志望校や現在の学習状況に応じて追加していきます。
難関大学を目指しているのであれば、より難度の高い記述式の模試や、大学名を冠した模試を受けることで、近いレベルの受験生の中での立ち位置を確認しやすくなります。
一方で、まだ基礎を進める時間を優先したいのであれば、模試を増やしすぎる必要はありません。
大切なのは、
有名な模試を全部受けることではなく、自分が何を確認したいのか
です。
模試は「1日潰れる」だけではない
模試に使う時間は、受験当日だけではありません。
模試を受ける。
自己採点をする。
時間無制限でもう一度解く。
解き直す。
振り返る。
今後の勉強へ反映する。
ここまでやれば、一回の模試で2〜3日分の時間を使うこともあります。
だからこそ、受けすぎには注意が必要です。
まだ自習をどんどん進める必要があるなら、受ける模試を絞るという判断もできます。
逆に、学習が進み、
「初見問題でどれだけ力を出せるかをもっと確認したい」
のであれば、志望校のレベルに応じて追加すればいい。
一つの目安になるのは、
模試の受験や復習によって、普段進めるべき自習が止まっていないか
です。
模試の処理に追われて参考書や問題集がほとんど進まないのであれば、受験回数を見直していいと思います。
模試を何回受けたかより、
受けた模試を最後まで使い切れたか
の方が大切です。
判定だけ見て終わるなら、模試を受ける意味は薄い
模試でよくあるのが、
判定だけ見て一喜一憂する。
悪い判定で教材を全部変える。
良い判定で安心する。
結果が悪くても「今回はたまたま」と片づける。
そして、その理由を振り返らない。
という使い方です。
これでは、模試を受けてもその後の勉強はほとんど変わりません。
模試は、
結果をもらうためのイベントではありません。
なぜ失敗したのか。
普段の勉強で防げなかったのか。
次から何を変えるのか。
そこまで考えて、初めて次の勉強につながります。
振り返る時間まで取れないのであれば、模試を一つ減らして自習へ戻った方がいい場合もあります。
志望校を変えるなら、模試より過去問を見る
模試でE判定が出ると、
「志望校を下げた方がいいのでは」
と考える人もいます。
ただ、先ほど述べた通り、模試の判定だけでは志望校との相性までは分かりません。
私が志望校変更を考えるときに重視するのは、実際の過去問です。
志望校の問題との相性。
現在の学力。
残された期間。
これからどこまで伸びる可能性があるか。
こうしたものを合わせて判断します。
その判断材料として過去問を使うときは、点数だけを見るのではなく、時間内にどこまで解けたか、なぜ失点したのか、その結果を普段の勉強へどう戻すかまで見る必要があります。具体的な使い方は、浪人生は過去問をいつから始める?始める時期と使い方で詳しく整理しています。
模試でE判定でも、志望校との相性が良く、残された期間で伸ばせる部分が明確なら、そのまま目指すこともあります。
一方で、特に秋以降は、
悪い判定を見たことで本人の気持ちが折れてしまう
ことがあります。
その場合は、学力だけではなく、本人の気持ちや残り期間も含めて考える必要があります。
それでも、
「E判定だから志望校を下げる」という単純な判断ではありません。
模試判定だけではなく、現在の学力・残り期間・過去問との相性から志望校を考えたい場合は、浪人生が志望校を上げるときの判断基準もあわせて確認してみてください。
まとめ|模試は「結果」ではなく、その後の勉強に価値がある
模試の結果で、大学の合否が決まるわけではありません。
E判定でも合格する人はいます。
A判定でも不合格になる人はいます。
だから、判定だけを見て一喜一憂する必要はありません。
大切なのは、
模試で起きたことを振り返り、その後の勉強へどう生かすか
です。
時間を外したら解けたのか。
既習範囲を取れていたのか。
正解した問題も確信を持って解けていたのか。
なぜ失点したのか。
その失敗は普段の自習で防げなかったのか。
次から何を変えるのか。
ここまで考えて、初めて模試を受けた意味があります。
模試は、今の自分に判定をつけるためだけのものではありません。
これまでの勉強を点検し、次の勉強をより良くするために使うものです。
その振り返りまでやる時間がないのであれば、模試を受ける回数そのものを減らしても構いません。
模試を何回受けたかではなく、
一回の模試から、次の勉強をどれだけ変えられたか。
そこまで含めて、模試を使ってほしいと思います。
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