浪人することになったとき、
「宅浪でいくか、塾・予備校に通うか」
で迷う人は多いと思います。
そもそも浪人するか、受かった大学へ進学するかで迷っている場合は、「浪人するか進学するかの考え方」を先に整理してみてください。
費用を考えれば宅浪の方が魅力的に見えるかもしれません。
一方で、
「浪人生なら予備校に通った方が安心なのでは?」
と考える人もいるでしょう。
ただ、宅浪と塾・予備校のどちらが優れているか、という形で考える必要はありません。
先に考えたいのは、
自分が現役時代にうまくいかなかった原因を、どんな環境なら改善できるのか
です。
たとえば、同じ「第一志望に届かなかった」という結果でも、原因は人によって違います。
| 現役時代に困っていたこと | 必要になりやすいサポート |
|---|---|
| 何を勉強すればいいか分からなかった | 学習計画・進捗管理 |
| 勉強方法が合っているか分からなかった | 勉強法へのフィードバック |
| 分からない問題をそのままにしていた | 質問できる環境 |
| 計画を立てても途中で崩れていた | 定期的な振り返り・計画修正 |
| 生活リズムや勉強量が安定しなかった | 勉強する場所や生活管理 |
こうして見ていくと、
「宅浪か予備校か」を決める前に、「自分には何が足りなかったのか」を考える方が先
だと分かります。
この記事では、宅浪と塾・予備校の違いを比較しながら、どんな人が宅浪で進みやすいのか、自分にはどんなサポートが必要なのかを考えていきます。
宅浪と塾・予備校の違い
まずは、大まかな違いを整理してみます。
| 比較項目 | 宅浪 | 塾・予備校 |
|---|---|---|
| 費用 | 抑えやすい | 高くなりやすい |
| 勉強時間の自由度 | 高い | 授業時間などの制約がある |
| 学習計画 | 基本的に自分で管理 | サポートを受けられる場合がある |
| 質問環境 | 自分で用意する必要がある | 質問できる場合が多い |
| 自習環境 | 自宅・図書館などを自分で選ぶ | 自習室を利用できる場合がある |
| 人との関わり | 少なくなりやすい | 講師・スタッフ・他の受験生との接点がある |
| 学習内容の自由度 | 高い | カリキュラムの影響を受けやすい |
宅浪の大きなメリットは、時間と勉強内容を自分で自由に設計できることです。
必要のない授業を受ける必要もなく、自分の課題に時間を集中できます。
費用も塾・予備校より抑えやすいでしょう。
ただし、その自由さは、
「何をやるのか」「どのくらいやるのか」「うまくいかなかったらどう修正するのか」を自分で決める必要がある
ということでもあります。
逆に塾・予備校は、授業や学習管理、質問環境などを利用できる一方、それらのサービスが自分に本当に必要なのかは考えなければなりません。
費用について詳しく比較したい場合は、浪人生の予備校・塾にかかる年間費用と追加料金も参考にしてください。
宅浪で自走するために必要な3つの力
宅浪に向いているかどうかは、
「勉強が得意か」「偏差値が高いか」だけでは判断できません。
実際に一年間、自分で受験勉強を進めていくためには、大きく3つの力が必要になります。
1.自分の課題を見つけ、計画を修正できる
宅浪では、
「今日は何を勉強するか」
だけでなく、
「なぜそれをやるのか」
まで自分で判断する場面が増えます。
たとえば英語長文で点が取れないとしても、
- 単語力が足りない
- 文法理解に穴がある
- 読む速度が遅い
- 内容は読めるが設問処理が弱い
- 時間配分に問題がある
など、原因によってやるべきことは変わります。
「英語が苦手だから英語をたくさんやる」だけでは、必要な課題まで具体化できていません。
成績が上がらないときに、勉強量・理解の仕方・学習の癖・模試の分析などをどう切り分ければいいのかは、「浪人生の成績が上がらない原因と見直し方」で詳しく整理しています。
また、計画は一度作れば終わりではありません。
予定より教材に時間がかかる。
模試を受けて新しい弱点が見つかる。
思ったより伸びない科目が出てくる。
浪人生活では普通に起こります。
完璧な計画を作れるかより、崩れたあとに組み直せるか。
宅浪では、この力がかなり重要になります。
2.解説を「分かったつもり」で終わらせない
宅浪では、参考書や問題集から一人で学ぶ時間が長くなります。
ここで注意したいのが、
「解答を読んで納得したこと」と「自分で再現できること」は違う
という点です。
問題が解けなかった。
解説を読む。
「なるほど、そういうことか」と思う。
ここまではできても、似た問題を出されたときに自力で解けるとは限りません。
参考書を読んだあとには、
- なぜその考え方を使うのか説明できるか
- 本を閉じても解法を再現できるか
- 同じ考え方を使う類題を自力で解けるか
- 翌日になっても理解が残っているか
まで確認してみてください。
ここまでできて初めて、ある程度「自分で学べている」と判断できます。
自分では判断しにくい場合は、学校や塾の先生など、これまで自分の学習を見てきた人の評価を参考にするのも一つの方法です。
「説明を読めば自分で理解して進められる」
「考え方を説明するのが上手い」
といった評価を受けているなら、宅浪を考える材料にはなります。
ただし、最後はやはり、自分で問題を解ける状態まで持っていけるかで確認するのがいいでしょう。
3.生活と勉強を安定して続けられる
宅浪には、学校のような時間割がありません。
朝何時に起きるか。
どこで勉強するか。
何時から何時まで勉強するか。
休憩をどのくらい取るか。
全部自分で決められます。
これは大きなメリットですが、生活が崩れやすい人にとってはデメリットにもなります。
最初の1週間だけ毎日12時間勉強して、その後ペースが落ちてしまう。
夜型になり、起きる時間がどんどん遅くなる。
家にいることで気持ちの切り替えが難しくなる。
こうした状態になるなら、自由な環境が必ずしも合っているとは言えません。
また、宅浪では人と話す機会が少なくなることもあります。
一人で過ごす時間が長いこと自体が悪いわけではありません。
ただ、
その環境の中でも生活や勉強のペースを保てるか
は考えておきたいところです。
浪人生の勉強時間や1日の組み立て方については、浪人生の勉強時間と1日のスケジュールの考え方で詳しく整理しています。
塾・予備校に通えば安心というわけでもない
ここまで読むと、
「自分で全部管理するのは難しそうだから、予備校に通った方がいいのかな」
と思う人もいるかもしれません。
ただ、
塾・予備校に通えば自動的に受験勉強がうまくいくわけでもありません。
特に注意したいのが、授業と自習のバランスです。
授業を受ければ、新しい知識や解き方を教えてもらえます。
でも、
授業を受けることと、自分で解けるようになることは別です。
授業を受けたあとに、
問題を解く。
復習する。
覚える。
間違えた原因を確認する。
もう一度解く。
こうした時間が必要になります。
ところが、授業を増やしすぎると、そのための自習時間が減ります。
「予備校に毎日通っている」
「授業をたくさん受けている」
というだけで安心せず、
その環境で、自分に必要な勉強まできちんと進められるか
を見る必要があります。
塾・予備校を選ぶ場合は、授業内容だけでなく、学習管理や質問環境、自習へのサポートまで含めて確認してください。
詳しくは、浪人生の塾・予備校の選び方で整理しています。
宅浪・塾選びのチェックリスト
ここまでの内容をもとに、一度自分の状態を確認してみましょう。
以下について、自分に当てはまるか考えてみてください。
ここで、
YESが多ければ宅浪、NOが多ければ予備校
と単純に決める必要はありません。
YESの数ではなく、「どこにNOがついたか」を見る。
NOがついた部分こそ、今の自分が外部のサポートで補うべき可能性があるところです。
YESの数ではなく「NOがどこにあるか」を見る
たとえば、
「教材を自分で進めることはできる」
「生活リズムも問題ない」
でも、
「一年間の学習計画を自分で修正するのは難しい」
という人がいたとします。
この場合、授業をたくさん受ける必要があるとは限りません。
必要なのは、計画管理のサポートかもしれません。
逆に、
計画は立てられる。
勉強も続けられる。
でも、分からない問題だけどうしても解決できない。
それなら、質問できる環境だけ用意すれば足りることもあります。
だから、
「自分一人では何が難しいのか」
→「それを補うには何が必要か」
という順番で考えてみてください。
宅浪か塾・予備校かの二択にしなくてもいい
宅浪を選んだからといって、1年間すべてを一人でやらなければならないわけではありません。
たとえば、
- 学習計画の管理だけ外部に頼る
- 分からない問題を質問できる環境だけ用意する
- 苦手科目だけ個別指導を利用する
- オンラインで学習管理を受ける
- 必要な時期だけ講習や指導を利用する
といった方法もあります。
宅浪をベースにしながらオンラインで指導や学習管理を受けることもできます。浪人生にオンライン塾はあり?向いている人・向かない人と選び方では、宅浪との違いや、オンラインを使いやすい人の条件、自習環境の考え方まで整理しています。
一人で全部やれることが、宅浪の条件ではありません。
むしろ、
一人では難しい部分に気づき、必要な助けを取りにいけること
の方が重要です。
必要なサポートによって、向いている指導形式も変わります。
集団授業・個別指導・学習管理型・オンラインなどの違いについては、浪人生に合う塾・予備校のタイプ比較で詳しく整理しています。
最初に選んだ形を1年間続ける必要もない
最初は宅浪で始めて、
「思ったより一人でも進められる」
と分かることもあります。
逆に、
「勉強自体はできるけれど、計画管理だけは難しかった」
「質問できないことが予想以上に負担だった」
と途中で気づくこともあるでしょう。
そのときは、必要なサポートを追加すればいい。
反対に、塾・予備校へ通い始めてから、
「授業はこれ以上必要ない」
「この科目は自分で進めた方がいい」
と分かることもあります。
最初に選んだ環境を守り続けることが目的ではありません。
自分の状態が変われば、必要な環境も変わります。
その都度、
今の自分に足りないものは何か
を見直していけばいいと思います。
ただし、「合わないと感じたから変える」とすぐに決める必要もありません。
今の環境に本当に問題があるのか、自分の使い方や取り組み方に改善できる部分はないのかまで整理してから判断した方がいいでしょう。
塾・予備校を変える前に考えたいことは、こちらの記事で詳しく整理しています。
まとめ|「どこが一番いいか」ではなく「自分に何が必要か」
宅浪と塾・予備校のどちらを選ぶべきかに、全員共通の答えはありません。
宅浪には、
時間や勉強内容を自由に決められるというメリットがあります。
一方で、課題の発見、計画の修正、理解の確認、生活管理まで自分で行う場面が増えます。
塾・予備校には、それらを補ってくれる環境があります。
ただし、必要のない授業やサポートまで利用すればいいわけでもありません。
まず考えたいのは、
「自分一人では何が難しいのか」
です。
そこが分かれば、
宅浪で進めるのか。
塾・予備校を利用するのか。
一部分だけ外部のサポートを使うのか。
選択肢も自然に絞れてきます。
宅浪か予備校かを先に決めるのではなく、自分に足りないものを先に考える。
それが、自分に合った浪人生活を選ぶための一番の出発点だと思います。
この記事を書いた人
大学受験指導歴 約20年。集団授業・少人数指導・個別指導・学習管理・自習指導・オンラインなど、さまざまな形式で高校生・浪人生の受験指導に携わってきました。
「誰にでも同じ正解があるわけではない」という考えのもと、現場での経験と公式情報を分けながら、受験生が自分に合う選択を考えるための記事を執筆しています。
→ 受験の羅針盤の運営方針・編集方針を見る
次に読む記事
実際に塾・予備校を選びたい人へ
塾・予備校を使う方針が見えてきたら、次は「どこが有名か」ではなく、自分に必要なサポートがあるかという視点で選んでみましょう。
→ 浪人生の塾・予備校の選び方を見る
どんな指導形式が合うか知りたい人へ
集団授業、個別指導、学習管理型、オンラインなど、塾・予備校によってサポートの形はかなり違います。
→ 浪人生向け予備校・塾の指導形式を比較する
費用面も確認しておきたい人へ
塾・予備校を利用する場合は、授業料だけではなく、季節講習や追加料金も含めた年間費用を確認しておくと安心です。
→ 浪人生の予備校・塾にかかる費用を見る